冬の味覚を代表する「牡蠣」。ご馳走として人気が高い食材ですが、生食用を購入する際に“食当たり”を懸念する人もいるのではないでしょうか。安心して食べられる生食用牡蠣の生産に心血を注ぐ、『株式会社播磨灘』代表取締役社長・永良裕泰さんと研究開発部課長・森井駿介さんに詳しく聞きました。
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兵庫県姫路市の白浜町で牡蠣を主に取り扱う同社は、国内はもとより海外にも幅広く展開しています。会社が設立されたのは1997年。「集団食中毒によるいくつかのニュースが世間を揺るがし、安心安全な食というテーマが大きく取り上げられた時代でした」と、永良さんは当時の時代背景を振り返ります。
もはや逆境とも言える情勢の中で立ち上げられた同社ですが、これまで徹底された衛生管理や「HACCP(※1)」の基本概念をもとに工場を運営しています。「プロトン凍結」という高度な技術により、解凍してもおいしく生食できるよう加工した冷凍牡蠣の販売も。海外に販路を拡大するにあたり高度な国際基準である「ISO 22000(※2)」を取得、更新審査を常にクリアし資格を保有し続けています。
番組パーソナリティの清元秀泰姫路市長は、「生食ならではの味わいはもちろん、可食部も大きい。生牡蠣を安心して食べることができるのは非常に高い技術のおかげ」と同社についてコメント。永良さんは「少しこそばゆいですが……」と謙遜し、続けて生食用と加熱調理用の牡蠣の違いについて次のように説明しました。
「海の大腸菌群を『最確数法』という手法で推定し、細菌の数が70以下の海は『清浄海域』と呼ばれ、この海で育つ牡蠣は生食用として食べることが可能です。逆に、70以上の海域は『条件付き海域』と呼ばれ、ここで育つ牡蠣は加熱調理用とされます。実は牡蠣の生食用・加熱用は“鮮度”ではなく、完全に“海の違い”で決まるのです」(永良さん)
播磨灘海域は清浄海域の中でも特にこの数値が低く、「非常に高いレベルで綺麗な海」なのだとか。そのため、牡蠣が育つのに良い環境が整っているとのこと。また播磨灘海域は非常に栄養分が豊富なため、他の地域では成長に2~3年かかるところ1年で成長する「1年牡蠣」であることも特徴のひとつだそう。
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同社では昨年から養殖部門も立ち上げました。昨年2月に東京豊洲市場で開催された「牡蠣-1グランプリ」の生食用部門で、初代グランプリを獲得したブランド牡蠣「キューティーカキー(正式名称は末尾にハートマーク)」の養殖にも携わっています。