今年1月17日、阪神・淡路大震災の発生から30年を迎えました。当日、兵庫県神戸市中央区のHAT神戸では、兵庫県主催の防災イベント「ひょうご安全の日のつどい」が開催されました。追悼式典が開催されたほか、防災・減災に関する取り組みや体験学習、炊き出しなどのブースが多数出展。その中で、能登半島地震の被災地でも活躍した「ポータブル発電機」を紹介するブースを取材しました。

会場内で、ポータブル発電機、炊き出し用のセット、コンポジット容器等実物を展示していたのは兵庫県LPガス協会です。
神戸支部長の山崎勝良さんによると「ポータブル発電機」とは、LPガスで使用可能な小型発電機。最大1500ワットの電力を供給する能力を持っています。現在、透析などの患者を抱える小規模なクリニックや食品保存用の冷蔵庫を持つ事業者、一時的に避難所となりうる公民館などに導入されています。長時間の発電が可能で、一般家庭に置かれている50キロボンベであれば、72時間の連続使用ができるのも特長です。
阪神・淡路大震災が発生した30年前は、主に重油やガソリンを用いる発電機が利用されていましたが、LPガスに比べてメンテナンスが困難であるため、緊急時の対応が難しいという課題がありました。
一方、LPガスには定期的に設備メンテナンスを行う事業者がいるため、個人で燃料を管理する必要がありません。つまりポータブル発電機の登場により、30年前と比べて気軽にガスを使うことができる環境が飛躍的に整ったと言えます。
同協会は、能登半島地震の発生直後にも現場へと赴き、被災者の生活を守るために尽力したとのこと。2024年1月1日の発災から2日後には現地へ救援に向かい、その日のうちにガスが使える仮設環境を整えて温かい食事の提供を実現したといいます。
現在、兵庫県内では、LPガス発電機に加えてガス冷房機の導入も進められています。近年、夏場の暑さは危険なレベルに達しています。避難所となる体育館などの施設にLPガス空調を常設し、普段から使用することで災害時にも活用できるよう働きかけています。ブース内では、そのようなLPガスの特長もパネルで紹介されていました。
今後に向けて、山﨑さんは「私たちLPガス事業者は地域密着型です。従業員自身が市民であることが多く、『地元の市町に貢献したい』との思いが強くあります。現在懸念されている南海トラフ巨大地震など、災害発生は避けられませんが、“備える”ことはできると思います。LPガスを普段から常設していただき、災害時にも使えるよう普及に努めています」と熱い思いを語りました。

※ラジオ関西「1.17ひょうご安全の日のつどい」生中継より