卒業間近の生徒をはじめとする障がいを持つ高校生に向けて、これから社会に出ていくうえで大事なことは何かを伝えていく特別授業が、兵庫県丹波篠山市で行われました。
『卒業する君たちへ』というテーマのもと、丹波篠山市立篠山養護学校でこのたび開催されたのは、特別授業「高3生と語る会」。同校の3年生4人をはじめ、2年生や1年生も含めた生徒たちが参加しました。

序盤では『これまで過ごした養護学校での生活で楽しかったこと』などを、事前に準備した画用紙とともに、生徒一人ひとりがそれぞれ発表。
その後、『同校の卒業生がどのようにして社会で活動しているか』『これから社会に出ていくうえで大切なこと』などの講義が行われました。
講師を担当したのは、「みずほの家マザーハウス」の山中信彦さんです。同校を卒業した娘・みずほさんを若くして亡くした今も、障がい者支援に尽力し、かつ、周囲の人々が彼らへの理解を深めるための活動を続ける山中さんは、「篠山市(現、丹波篠山市)ふるさと功労賞」やベスト・ファーザー賞(「第10回ベスト・プラウド・ファーザー賞in関西」)などを受賞しています。

生徒たちに向けて、「『ありがとう』という言葉を、1日10回言えるかな?」と、問いかけた山中さん。「この言葉は、仕事ができる・できないということ以上に、生きていくうえで一番大切な言葉だと実感しています」と述べたうえで、「これは障がいの有無に関係なく大切にしたいこと。この『ありがとう』の五文字を大切にしてほしい」とメッセージを送りました。

篠山養護学校の担任兼学部代表をつとめる今中清孝先生は、今回の特別授業の意義について、「一度、1年間をじっくり振り返ってみようねという自分を振り返る時間であり、卒業したらどうなるのかなというのを思い描いてもらったり、イメージできないことをアドバイスいただいたりして、ちょっとでも卒業後の自分をイメージして卒業してくれれば」と語ります。

今中先生が社会や生徒に望むのは、「(周囲の人々には)ありのままの姿を見てほしいし、子どもたちには遠慮せずに町を歩いたり、失敗してもいいからわからないことは尋ねたりしてほしい」ということ。そのためにも、“障がいについて周囲の人々に知ってもらうこと”に意味があると考えているといいます。





