

さらに静けさの森のとらえ方を、「静かに耳を澄ませながら、未来への問いを立てていくもの」と位置付ける。

「静けさの森」の設計・デザインを担当するランドスケープデザイナー・忽那裕樹(くつな・ひろき)氏は、「大阪・関西万博のテーマ『いのち輝く未来社会のデザイン』の“いのち”を支えるテクノロジーと対照的な、森や空、水といった自然を感じて、静かに“いのち”と対話しながら大切な人と時間を過ごす場所になれば」と話す。
「ランドスケープデザインは、環境デザイン、景観デザインと解釈してほしい。これだけの規模の森を造るのは初めてだった」と振り返る忽那氏。1500本もの樹木を移植した(会場全体では2500本)。
「真ん中には、水と緑と空しか出会わない。自然と人のあり方を知ってほしい。もう鳥が」と自信を持って話す。

忽那氏は海に囲まれた会場の人工島・夢洲(ゆめしま)ならではの、海に見立てた風景をデザインした。
森は瀬戸内海という大きな海をモチーフにしている。
忽那氏は大阪・関西万博の会場を、「(交易の拠点として) 瀬戸内海から様々な文化が伝わり、大阪城から西(海側)に向かって街が形づくられてきた、その接点にある最先端の場所が夢洲だと思う」とみる。


そして会場を“ひとつの皿”と見立て、そこに盛り付ける料理が美しく見えるようにとの思いで、森は瀬戸内海のしまなみを表現したという。

