70年万博タイムカプセルの映像を初公開 当時の世相を網羅的に記録 大阪歴史博物館、一般向け上映も | ラジトピ ラジオ関西トピックス

70年万博タイムカプセルの映像を初公開 当時の世相を網羅的に記録 大阪歴史博物館、一般向け上映も

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「ゴーゴー」を踊る若者たち、乱闘状態の国会、“花嫁修業”にいそしむ女性。1960年代~70年を中心にさまざまな日本の風景を記録した16ミリフィルム映像が大阪歴史博物館(大阪市中央区)でこのほど報道関係者に初公開された。フィルムは、1970年の大阪万博開催時に制作されたタイムカプセル収蔵品の1つで、当時の世相を網羅的に取り上げたきわめて貴重な内容。同館は5月3日(土・祝)、一般向けにも上映会を開く。

風俗に関する組み写真「ゴーゴー」 昭和43年(1968) 大阪歴史博物館蔵

 タイムカプセルは1970年大阪万博開催を記念して松下電器産業(現・パナソニックホールディングス)と毎日新聞社が共同で制作。当時の文化や生活について5000年後の人類に向けて伝えることを目的とし、日用品をはじめとする多様なもの約2100点が封入された。同じ内容のカプセルが4つ作られ、うち2つは大阪城公園(同区)内に埋設。残り2つのうち1つを大阪歴史博物館が受け継いだ。このたび公開されたフィルムは同館所蔵カプセルの封入物。

タイム・カプセルEXPO'70 大阪歴史博物館蔵

 フィルムのタイトルは「表情1970」。90テーマに及ぶ当時の日本の“表情”が収められている。今回の公開にさきがけてデジタルリマスター処理され、美しい映像となった。タイムカプセルには前巻と後巻に分けて収められていたが、リマスターとともに1本(約60分)にまとめられた。

16mmフィルム〈表情 1970〉より  大阪歴史博物館蔵

 建ち並ぶ団地の空撮、スモッグに覆われた都会の空などの風景から始まり、横一列にずらりと設置された公衆電話、野党議員が入って乱闘となった国会、夜通しゴーゴーを踊る若者、「花嫁修業」としてお茶や琴を習う女性など世相風俗を捉えたシーン、吉田茂元首相、喜劇役者の藤山寛美さん、世界的指揮者の小澤征爾さんら、今は亡き著名人の姿もある。

 同館の奥本未世学芸員は「当時は男性も女性も『こうあるべき』との価値観の下、制約を受けた時代だった。映像は、その中で日々を懸命に生きていた人たちの一瞬一瞬を切り取った記録。彼らが21世紀の明るい未来を信じて頑張っていたことが見て取れる。フィルムはこのままの形で次世代に引き継いでいきたい」と話した。

16mmフィルム〈表情 1970〉より「電話」 昭和45年(1970) 大阪歴史博物館蔵
16mmフィルム〈表情 1970〉より「電話」 昭和45年(1970) 大阪歴史博物館蔵
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