海に囲まれ南北に長い日本列島。その多様な自然から生まれた食材で作られた「和食」について、科学や歴史の観点からひもとく展覧会「和食 ~日本の自然、人々の知恵~」が京都文化博物館(京都市中京区)で開かれている。食に関係する標本や各時代の食事の再現など、今の私たちの食卓につながる多角的な資料によって、和食の新たな魅力を発見できる。7月6日(日)まで。


展示は6章仕立て。第1章「和食とは?」は、日本の水質の特徴と地質の解説から始まる。日本の水は基本的に軟水で、水の中に成分が出やすく、だしを使う和食に合うという。続く第2章では、日本列島周辺に生息する魚類が約4500種と世界的に見ても多種であることなど、美味なる和食の背景について紹介。海の恵みが視覚的に分かるさまざまな標本、模型も展示している。日本近海で取れる5種のマグロや世界最大のカニ、スーパーでおなじみの魚も並び、まるで海の中をのぞいているよう。
一方、和食に欠かせないダイコンのコーナーでは、一般的なイメージの青首大根から、ロープのように細長いもの、紫色のものまで、多彩な地ダイコンが壁面にずらりと陳列されている。


歴史的な切り口も興味深い。遺跡から出土した動物の骨や木簡の内容、当時の文献の記述などを基にした古代のメニュー、織田信長が安土城で徳川家康をもてなしたお膳、江戸時代、人々に愛された献立などを再現しているほか、明治天皇がドイツからの賓客に出した午餐(ごさん)会の豪華な食卓も披露。







