地震など突然の災害で交通網がまひし、神戸の都心部から帰宅できなくなった人に向けた神戸市の取り組み「帰宅困難者支援システム」で、今春開業した「ジーライオンアリーナ神戸」(神戸市中央区)が一時滞在施設としてこのほど登録された。受け入れ人数は最大約1万800人で、登録施設の中で最多。同市危機管理局の担当者は「たいへんありがたいこと。いざという時、市民に安全に過ごしてもらえる可能性が高まった」と評価する。

神戸市によると、地震や豪雨などで電車やバスがストップした場合、神戸市中央区では平日最大20万人(うち三宮駅周辺地域14.5万人)、休日で13.3万人(同9.6万人)の人が行き場を失う見込み。そのうち、避難できる拠点を持たない買い物客や旅行者は平日約2万人、休日約4.6万人で、市はそれらの人たちを対象に一時滞在できる施設の登録を進めてきた。
これまでに神戸国際会館や神戸サンボーホール、三宮中央通り地下通路(サンポチカ)、神戸ポートピアホテルなど中央区内で27か所が指定され、約2万人の受け入れが想定されていたが、今回、約1万人分増えたことで、全28か所で合計3万1千人あまりの収容が可能になった。


同システムはスマートフォンを使って避難者を安全な一時滞在施設へと導く全国初の取り組み。主要駅や商業施設のデジタル広告や立て看板に表示された専用の2次元コードをスマホで読み込み、予約すると、ナビ機能で施設まで道案内してもらえる。システムは2024年4月1日から使えるようになっているが、これまで実際の運用は行われていない。
ジーライオンアリーナ神戸は、7階建て延べ約3万2300平方メートル、最大約1万人を収容する多目的ホール。プロバスケットボールチーム「神戸ストークス」の本拠地でもあり、今年4月にオープンした。今後、災害時は、客席とコンコース内に10761人を受け入れる。その際は従業員らが受付や安全管理を行い、水道とトイレ、電源のほか、乾パンなどの保存食、飲用水、ビニールトイレなども提供する。利用期間は最大3日間。
同アリーナを運営する「One Bright KOBE」(同区)の施設担当者は「震災から30年の節目に開業した施設として、最大限できることをしたいという思いがあった。アリーナは公共性の高い存在であるべきと考えている。活用を通じて神戸市や地域の皆さんと支え合っていきたい」と話す。





