名湯は「有馬」だけじゃない! 神戸は“温泉パラダイス” 震災時に人々救った銭湯も 郷土史家が解説 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

名湯は「有馬」だけじゃない! 神戸は“温泉パラダイス” 震災時に人々救った銭湯も 郷土史家が解説

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 生まれも育ちも神戸市中央区でサブカル郷土史家の佐々木孝昌(神戸史談会、神戸史学会・会員)が、北区出身で落語家の桂天吾と、神戸のあれこれについてポッドキャストで語る『神戸放談』(ラジオ関西Podcast)連載シリーズ。今回のテーマは「銭湯・温泉」です。

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 神戸市は銭湯を応援している(銭湯利用促進事業)。現在、市内にある昔ながらの銭湯の数は28か所(神戸市HPより)。1960年代には390軒ほどあったが、昔に比べて激減している。神戸は市場と同じく銭湯も多いイメージだったので寂しい限りである。

 僕の場合、“戦前建築マニア”なのでレトロな銭湯建築も魅力の一つ。阪神淡路大震災前は戦前に建てられた銭湯も多少残っていたが、現在は「灘温泉・六甲道店」ぐらいだろう。兵庫区の大黒湯も昭和初期の建築だったが、4年前に店主が亡くなられて廃業してしまった。

 中央区のわが家の近辺には、震災後でも11軒ほどの銭湯があった。しかし、現在は5軒に。特に、道を挟んだ兵庫区の「たちばな湯」は幼少の頃から通っていて思い出深い1軒だ。脱衣所には、広告として封切作品の映画ポスターが貼られていたのも昭和だ。ガス・水道が使えなかった震災の時も、お世話になった。息子が小学生の頃は、よく町内の幼馴染たちと入りに行っていた。まさに地域のオアシスであったが、4年前に惜しまれながら廃業した。

今は無き「たちばな湯」の浴室:筆者提供

 元町を散策するのが好きな落語家・桂天吾君お気に入りの銭湯は、花隈にある「つかさ湯」。僕も、一晩中営業していた頃は夜中によく入りに行っていた。各種浴槽のほか露天風呂があるのもいい。

 残念ながら、北区には銭湯が無かったという天吾君。その代わり「有馬温泉」があると自慢げに言うではないか。いやいや、有馬だけではない。神戸には各区に温泉が湧いているのだ。

 東灘区の「恋野温泉うはらの湯」、灘区の「六甲おとめ塚温泉」「灘温泉」、中央区の「HAT神戸なぎさの湯(リニューアル工事中)」「神戸クアハウス(休館中)」、兵庫区の「湊山温泉」「朝日温泉」、長田区の「あぐろの湯」、須磨区の「須磨温泉寿楼」「華の湯」、垂水区の「ジェームス山・月の湯舟」、西区の「太山寺温泉なでしこの湯」など。北区も有馬温泉以外にも「すずらんの湯」「神戸天空温泉 銀河の湯」などがある。

 特に、僕も長年通っている湊山温泉は平清盛も入ったとされる歴史のある湯。一時、廃業の危機もあったが、無事に乗り越えて今も賑わっている。周辺は空襲で焼けなかったので戦前の民家が現存している。近年、解体されてしまった建物もあるが、それらの民家がちょっとした温泉街の雰囲気を醸し出していて風情もある。

湊山温泉:筆者提供

 意外に神戸は「温泉パラダイス」なのだ。そして……やはり「神戸は別府」である(過去記事参照)。

(文=サブカル郷土史家 佐々木孝昌)

※ラジオ関西Podcast『神戸放談』#17「神戸の市街地は、意外と温泉が湧いている」より


◆『神戸放談』
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