芦屋で結成され、戦後の日本美術を代表する美術家集団「具体美術協会」(具体)の活動の軌跡と、「具体」解散後も芦屋で繰り広げられた美術の動きを紹介する企画展「具体美術協会と芦屋、その後」が、芦屋市立美術博物館で開かれている。2025年8月31日(日)まで。
具体美術協会は、1954年に前衛画家の吉原治良を中心に芦屋で結成された。「人のまねをするな」という吉原の考えのもと、多くの作家が、屋内だけではなく、野外、舞台、空中でも作品を発表した。1972年に吉原の急逝によって解散するが、18年という活動期間を3期にわけ、それぞれの活動の特徴と共に振り返る。その活動の中で芦屋で蒔かれた「タネ」は、美術家だけでなく市井の人たちにも根付いていて、「具体」解散後も芦屋で展開された様々な美術の動きを、作品と関連資料から紐解く。

「具体」の活動は、1954年から57年の初期、57年から65年の中期、そして65年から解散した72年までの後期に分けることができる。
エントランスホールには初期の作品が並ぶ。白髪一雄の作品『どうぞお入りください』は、今は中に入ることはできないが、1955年の野外展では中に入ることができたという。「内部にはところどころに傷があります。これは斧で空間をドローイングした行為によってできた痕跡です」と同館の大槻晃実学芸員は話す。

中期の「具体」は、フランスの美術評論家ミシェル・タピエと出会うことで大きな転換期を迎えた。形式や具象にとらわれず感情や感覚を表現する「アンフォルメル」の動向と並走し、それまで「関西」の美術集団だった「具体」が、発表の場を国内外に広げていく。
そして65年以降の後期には、作品の表現に多くの最先端の技術や傾向を取り入れる新人作家を迎え入れ、彼らによって初期からのメンバーにも変化が生まれた。
展示されている作品からは、それぞれが追求した表現を見ることができる。「1991年の開館前から『具体』の作品をコレクションしてきたので、ほぼ所蔵品だけでその軌跡を紹介することができます」と大槻学芸員。






