
それは、我々が広島における原爆投下の歴史を、戦後日本の平和国家としてのストーリーに位置付けて語り、現在の国際情勢を思うことと同じなのではないか。
現在の韓国の人々とって、光復節の意味は一つではない。南北統一、民主化、経済発展、そして進歩派と保守派のイデオロギー的対立…。
異なる人々が異なる価値観をもって生きている社会で、彼らが光復節に見出す価値は同じではない。これこそが2025年の「光復節」の姿なのである。
※少女像(慰安婦像)〜旧日本軍慰安婦の少女時代をモチーフとして作成されたとされる
◆木村 幹(きむら・かん)1966年大阪府生まれ。京都大学大学院法学研究科修士課程修了。神戸大学大学院国際協力研究科教授、NPO法人汎太平洋フォーラム理事長。
専門は比較政治学、朝鮮半島地域研究。研究テーマは「韓国のナショナリズムと歴史認識問題の発展過程」。
著書に『日韓歴史認識問題とは何か~歴史教科書・『慰安婦』・ポピュリズム』(第16回読売・吉野作造賞受賞)、『韓国における「権威主義的」体制の成立』(第25回サントリー学芸賞)、『朝鮮/韓国ナショナリズムと「小国」意識』(第13回アジア・太平洋賞特別賞受賞)。
『平成時代の日韓関係』(ミネルヴァ書房)、『歴史認識はどう語られてきたか』(千倉書房)などを相次いで執筆。熱烈なプロ野球・オリックスバファローズファン。


