昭和を代表する歌姫・美空ひばりさんも反戦ソングを残しています。それは美空さんが1974年の第1回広島平和音楽祭に出演するにあたって作られた『一本の鉛筆』(1974年)。「一本の鉛筆があれば戦争はいやだと私は書く」美空さんは父が召集され、自身も横浜大空襲を体験。平和への思いから広島平和音楽祭を重視し、死の前年となった1988年の第15回も体調不良をおして出演したそうです。
番組最後に紹介された反戦歌は、RCサクセション『明日なき世界』(1988)。原曲はアメリカのシンガーソングライター、バリー・マクガイアが1965年に発表。「世界が破滅するなんて嘘だろ」という悲痛な叫びが印象的なこの日本語バージョンは、1971年に高石ともやさんが訳詞したものをさらにカバーしたものになります。1960年代から1980年代(昭和35年~同64年)にかけ、世界中で反戦歌の広がりがあったことがよくわかります。
30分の番組中で計6曲の反戦歌を紹介し、平和と戦争について語り合った中将と橋本。音楽、カルチャーの番組でありながら、時おり社会的な事柄についても鋭く切り込む『中将タカノリ・橋本菜津美の昭和卍パラダイス』らしい戦後80周年企画でした。
◆中将タカノリ(ちゅうじょう・たかのり) 1984年3月8日生まれ。シンガーソングライター・音楽評論家。2005年、加賀テツヤ(ザ・リンド&リンダース)の薦めで芸能活動をスタート。昭和歌謡、アメリカンポップスをフィーチャーした独特の音楽性が注目される。2012年からは音楽評論家としても活動。数々のメディアに寄稿、出演し近年の昭和歌謡ブーム、平成J-POPブームに寄与している。
◆橋本菜津美(はしもと・なつみ) 1993年8月9日生まれ。2012年、音楽グループ「半熟BLOOD」を結成。数々の鉄道イベントに出演し、鉄道会社のPRソングを担当することで“鉄道系音楽グループ”として注目を集める。2020年からは兄・橋本大佑とのコントユニット「橋本兄妹」でも活動。コント動画を発表したTikTokアカウントが1億回再生を記録している。




