大阪・関西万博での全面的キャッシュレス決済について、来場者の9割が満足度を示したことがわかった。
万博を運営する日本国際博覧会協会が、「大阪・関西万博 全面的キャッシュレス決済運用の効果検証報告書」を取りまとめ、11月に公表した。
大阪・関西万博では、会場全体を“未来社会の実験場”と位置づけ、184日間の会期中、万博史上初の『会場内全面的キャッシュレス決済』による運営を実施。
会場内の235店舗でVisa、Masterをはじめ、交通系などの電子マネー、QRコードといった73種類の決済ブランドを取り扱ったほか、独自の決済アプリ「EXPO2025デジタルウォレット」の電子マネー「ミャクペ!」や顔認証決済も提供した。
「EXPO2025デジタルウォレット」は閉幕後に名称を改めて、11月から新サービス「HashPort Wallet」として提供が始まった。
なお、「ミャクペ!」は2026年1月13日で終了、チャージされた残高は失効する。
来場者を対象にしたアンケート(※1)では、約9割が「現金よりも効率的で便利だった」と回答。8割以上が「使いやすかった」とした。また、「今後日常生活でもキャッシュレス決済を利用したい」と回答した来場者も9割を超えた。
経済産業省によると、日本のキャッシュレス決済比率は徐々に高まり、2024年の調査では42.8%。2025年の政府目標である40%を達成している。
こうした現状を踏まえ博覧会協会は、「大阪・関西万博会場での体験を機に、日常生活でのキャッシュレス利用のさらなる定着に弾みをつけ、これらのデータを今後のキャッシュレス普及の各種施策の推進に活用したい」と期待を寄せる。
また、横浜市で開かれる2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)でも、会場内で全面的キャッシュレス決済を採用する動きがあるという。
万博会場内では、アンケート対象(閉幕直前)の39店舗のうち85%が、キャッシュレス決済に関するサポートについて「おおむね問題はなかった」と回答。
課題としては、手数料等の運営コストの増加、現金の選択肢がないことへの一部顧客からの苦情などが挙がった。また、万博会場内の約4割の店舗が、端末の通信不具合やソフトウェアのフリーズなどで決済できないトラブルに遭遇したと回答。キャッシュレス決済普及には、こうしたトラブルへの対処も必要だ。
さらに店舗向けのサポートセンターで、十分なトレーニング時間をとれなかったことも反省点だとした。
これらのデータは経済産業省が10月に立ち上げたキャッシュレス推進検討会への資料としても活用される。






