《Expo Legacy》大阪・関西万博 河森正治パビリオン『いのち球』思い伝えるマインドとは…

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 装飾は、ミナミ金属(石川県金沢市)が、廃棄されたPCや携帯電話など約20万個分を解体、そこから回収・再資源化した金を、金沢の伝統工芸を担う「株式会社箔一(はくいち)」が金箔として加工した。持ち込まれた金を伝統工芸士の技で1万分の1ミリの薄さに仕上げ、一枚一枚を丁寧に手作業でいのち球に貼りつめた。日本の伝統美がモニュメントに宿るよう、表面は、金箔特有のしわや「箔足(はくあし)」と言われる金箔の境界が残されており、エイジング加工という高度な手法を用いて奥行きのある豊かな輝きを放つようにしている。

万博記念公園・日本庭園前ゲート、国立民族学博物館の前で出迎える「いのち球」
太陽の塔と「いのち球」は共生している

 万博記念公園内での移設候補場所は複数あったが、最終的に国立民族博物館にほど近い、日本庭園前ゲートに決まった。シンボル・太陽の塔の北西で輝く姿に河森氏は「まったく違和感がない。ずっと昔からここにあったかのような気がする」と目を細めた。少年時代に見た風景とオーバーラップさせ、我に返ると多くの来場者が『いのち球』の周りに集まっている。

「『今』いのちの奇跡 没入体感」開幕前に送ったメッセージ〈2023年12月3日撮影 大阪市中央区・御堂筋〉

 河森氏は続ける。「大阪・関西万博のレガシーとして、目に見えるものの移設は進んでいるが、パビリオンは何を訴えてきたのか、語り継ぐマインドを持ち続けなければ」と前を向く。

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1970年万博の開催地・千里丘陵の万博記念公園では、2026年3月1日(日)までEXPO’70パビリオン企画展『河森正治 創作展 ~万博・合体・変形・未来~』が開催されている。
 会場では、河森氏の創作の軌跡をたどる貴重な立体展示や設定資料などを通して、代表作から最新プロジェクトまでを一挙公開。なかでも、1970年大阪万博で河森少年が受けた衝撃と、2025年に繋がる創造の連鎖を、ジオラマや映像演出で再現。
 2025年大阪・関西万博シグネチャーパビリオン「いのちめぐる冒険」の一部も、ここでしか見られない形で特別展示される予定です。さらに、「ピックアッププロジェクト」では、河森氏の代名詞である“合体・変形”の創作活動が息づく作品群を紹介。未来へ進化し続ける河森ワールドを体感できる。

『河森正治 創作展 ~万博・合体・変形・未来~』

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