ドリルで腰椎の神経切断 異例の刑事裁判、執刀医に有罪判決「基本中の基本、怠った」神戸地裁姫路支部

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 赤穂市民病院(兵庫県赤穂市)で2020年、手術で女性患者に重度の障害を負わせたとして業務上過失傷害罪に問われた元医師の男(47・退職)に対し、神戸地裁姫路支部は12日、禁錮1年・執行猶予3年(求刑・禁錮1年6か月)の有罪判決を言い渡した。

判決言い渡し前の神戸地裁姫路支部法廷〈2026年3月12日午後 兵庫県姫路市〉※代表撮影

判決によると、元医師は赤穂市民病院・脳神経外科に勤務していた2020年1月、 腰椎の神経が圧迫され、腰から下のしびれや痛みを覚える「脊柱管狭窄症」と診断された女性(当時70代)の腰椎の一部を削り取る手術をした際、出血により視界が悪く、患部の目視が困難な状況なのに、止血措置を十分に行わず医療用ドリルを作動させ、誤って脊髄の神経を切断したとされる。女性は両足のまひなど、重度の後遺障害を負った。

 検察側は「元医師は、 手術で助手を務めた指導医から止血するよう促されたのに、血を吸引しただけで、威力の高いドリルを使い施術した」と指摘。
 また、視界不良のまま手術を続けたことは「極めて基本的な注意義務に反しており、違反の程度も甚だしい」とした。

 弁護側は「指導医が適切な指示をしていれば事故は起きなかった。ドリルの使用は上司の医師の指示であり、元医師だけに責任を負わせるのは相当でない。指導のあり方にも問題がある」と主張。被告本人も法廷で「ひとりだけ悪いというのはおかしいと思う」とも主張していた。

判決言い渡し前の神戸地裁姫路支部法廷・裁判長ら〈2026年3月12日午後 兵庫県姫路市〉※代表撮影

 神戸地裁姫路支部は判決で、「元医師は止血が不十分で、手術部位を目視で把握するのが難しい状況下でドリルを扱った」と指摘。「止血に努めるのは基本中の基本。視認性が十分確保できるまですべきだった。基本的な注意義務を怠ったと言わざるを得ない」と非難した。

 さらに、女性が手術後、後遺障害を負ったことについて「刑事責任は決して軽視できず、罰金刑にとどまらない」とした。
 その一方で、「元医師が結果的に未熟であったことは否めないにしても、指導医が手術を止めるなどせず、サポートする体制が取られていなかった。この点は、被告の責任を問うにも限度がある」と述べた。

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