社会的な生活を送る上で不可欠、でも目に見えない概念「時」。時をテーマとした企画展「時を知りたい ~時をはかる・表現する」が大阪市立科学館(大阪市北区)で開かれている。時の測定方法や表現の歴史などにまつわる貴重な資料を紹介、先人たちの知恵と工夫をひもとく内容だ。明石市立天文科学館(兵庫県明石市)との共同企画。
大きな見どころは、日本標準時の成立に関わる貴重な機器の展示だ。特に注目されるのが、東経135度の子午線決定に用いられた「ザルトリウス子午儀」(明石市立天文科学館蔵)。精密な観測によって時刻の基準を定めた歴史的装置で、明石市指定有形文化財でもある。また、2019年まで日本の標準時を生成するために使用された「セシウム原子時計」(同)も登場。原子の振動を利用して極めて正確な時間を刻む仕組みは、現代の時間管理の根幹と言える存在だ。


一方、大阪市立科学館からは、江戸時代の暮らしを支えた「和時計(やぐら時計)」が出品される。不定時法(日の出と日没を基準に一日を昼夜に分け、それぞれを6等分した江戸時代の制度)を用いて昼夜で長さの異なる時間を刻む独特の機構を持ち、日本独自の時間文化を体現する興味深い時計だ。また、1873(明治6)年に太陽暦へ改暦された際に刊行された冊子「明治六年改太陽暦」(個人蔵)も公開。近代日本における時間制度の転換を具体的に伝える。
さらに、夜間に星の位置から時刻を読み取る「ノクターナル(星時計)」(大阪市立科学館蔵)や、航海で位置を知るために用いられた「天測暦」(大阪市立科学館蔵)など、天文学と時間の深い関係を示す資料も並ぶ。人類が太陽や月、星の動きに規則性を見出し、「今」を知ろうとしてきた営みが、科学の発展と密接に結びついてきたことが分かる構成となっている。
展示は「時を知る」「時を表現する・時を保つ」「時の流れを表現する」「子午線のまち・明石」の4章で構成。こよみや時計といった身近な道具から、最先端の時間測定技術までを通して、人類がどのように時間を定義し、共有してきたのかを多角的に振り返るとともに、明石市にも焦点を当て、東経135度子午線と日本標準時の関係や明石市立天文科学館の魅力などを紹介している。





