
日本では使用済みの基礎コンクリートブロックは、破砕処理を行い、再生骨材として活用する「ダウンサイクル」が一般的。ただ、この工程の加工費用は莫大で、破砕や運搬時に発生するCO2排出、粉塵の発生、リサイクル効率の限界など、多くの課題が指摘されている。
このように改善不能とされた問題の解決のために、ルクセンブルク当局やネスタリゾート神戸とともに奔走したのが、空間デザインプロデュース大手・船場(本社・東京都港区)だ。
「ダウンサイクルが主流のコンクリートブロック。従来ならば価値が下がるものをどうリユースするかという挑戦だった」と話すのは、ルクセンブルクパビリオンの再利用計画支援を担当した船場のSocial Design Port ビジネスプロデューサー・渡邉麗(うらら)氏。

渡邉氏は、「我々の取り組みは、未来にやさしい空間を創り出す“空間創造事業”。しかし、その実現にはゴミを大量に排出していた側面があった。これからはエシカル(倫理的)な取り組みで、社会問題の解決を図らなければならない」と訴える。
そして、「エシカルは思いやり。地域社会や自然環境を鑑みると、廃棄方法まで考えることが重要。そのためには従来難しいと言われたルールを超えなければ」と前を向く。
パビリオンを設計したアルノー・デマイヤー氏は、万博開幕前の2024年2月、ラジオ関西の単独インタビューに応じ、「循環経済をコンセプトに、材料はリユース(再利用)できるものを使用。日本で調達できる、環境に優しく、軽量な資材は何かを模索した」と自信を見せていた。ルクセンブルク貿易投資事務所 エグゼクティブ・ディレクターの松野百合子氏は万博閉幕後の今、「彼(デマイヤー氏)が、建築家として強く訴え続けたサーキュラーエコノミーへの思いが、次々に実っている」と高く評価する。
サーキュラー・バイ・デザインを採用したルクセンブルクパビリオンは、大阪・関西万博でBIE(博覧会国際事務局)から「サステナビリティ賞」を受賞した。
ルクセンブルクパビリオンは、来館者を雨や熱から守るため、独自で開発した膜屋根を使う構造とした。仮に木材を使うと重さが20~30倍にもなるという。 1千平方メートルもあったパビリオンの膜屋根は、東京・表参道のMondo Design(モンドデザイン)がバッグや小物に加工。外壁パネルは京都・ 京田辺市の神工建設がコンクリート型枠として再利用。鉄骨構造は2028年に大阪・交野市でコミュニティスペースへの転用が予定されている。そして、基礎コンクリートメガブロック220個はネスタリゾート神戸でこのたび再生され、すべての部材が旅立ち、日本国内で新たな“生”を歩む。
■ネスタリゾート神戸
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【連載】「解体から再生へ」ルクセンブルクパビリオンが挑んだ循環の物語 第4回 部材編②地中から掘り起こされた巨大ブロックの行方






