雨の日が少しずつ増え、季節は初夏から梅雨へと移り変わっています。
古くから伝わる暦「七十二候」には、この時期の自然の営みが細やかに記されています。カマキリやホタル、梅の実やアヤメなど、身近な生き物や植物の姿を通して季節の移ろいを感じ取ろうとした先人たちの知恵です。
播磨国総社射楯兵主神社(兵庫県姫路市)祭務部の尾崎祐彦さん(※崎はたつさき)に、6月の七十二候について話を聞きました。

6月は、二十四節気の「芒種(ぼうしゅ)」からはじまります。稲をはじめとした穀物の種をまく時期を意味し、昔から農作業の目安とされてきました。
そのころの七十二候には、「螳螂生(かまきりしょうず)」があります。これは、前年の秋に産みつけられた卵から小さなカマキリが孵化(ふか)するころを表しています。
続く「腐草為螢(くされたるくさほたるとなる)」では、ホタルが飛びはじめる季節を迎えます。かつて、“腐った草からホタルが生まれる”と考えられていたことが名前の由来とされています。
「梅子黄(うめのみきばむ)」では、梅の実が黄色く色づきはじめます。「梅雨」という言葉も、“梅の実が熟すころに降る雨”に由来するという説があるそうです。
二十四節気はやがて、「夏至(げし)」へと移ります。七十二候では、「乃東枯(なつかれくさかるる)」となり、冬に芽吹き春に花を咲かせた夏枯草(ウツボグサ)が役目を終えるころを迎えます。
そして月末には「菖蒲華(あやめはなさく)」となり、水辺ではアヤメが美しい花を咲かせます。
尾崎さんは、「七十二候を見ると、6月は雨の季節というだけでなく、多くの命が生まれ、育ち、役目を終え、また次の季節へと受け継がれていく時期だということがわかります」と話します。





