アイガモ(合鴨)のヒナの出荷が、最盛期を迎え、『河内鴨(かわちがも)』を生産するツムラ本店(大阪府松原市)では、孵化(ふか)して間もない体長約10センチのヒナが元気な姿を見せている。
ヒナたちは走り回ったり、エサをついばんだり、水浴びをしたりとすべての仕草が愛らしい。


アイガモは水田で雑草や害虫を食べ、フンが肥料になるため、コメの無農薬や、化学肥料を使わない「有機農法」に一役買っている。田植えが終わる6月末までに約3000羽が全国各地の米農家に出荷される。
「アイガモ農法」では、アイガモが水田を泳ぎ回ることにより土がかき混ぜられ、稲の根に酸素が供給されるとともに、光を遮るため雑草の生育を抑制するという。


「ヒナたちは、ええコメを食べてますから、純白の上質な脂が乗るんですわ。飼育期間も長いんですよ。普通なら50日ですが、ウチは75日。すくすく育った河内鴨は、しっかりとした肉質とジューシーな味わいに。ヒナの舌も肥えてますよ」と話すのは、ツムラ本店の専務・津村大介さん(35)。


飼育場に入り声を発すると、ヒナたちは一斉に近寄ってきた。
大介さんは、「ヒナは音に対して敏感に反応するんです。無音の状態だと、不安がって萎縮してしまい、生育に影響するんです」と話す。
ツムラ本店の飼育場の奥にはつい立てがあり、その内側からラジオの音声を流している。「ラジオから流れてくる声を、親鳥の声と錯覚してリラックスするんですよ」と説明した。
大介さんは、父で5代目社長の佳彦さん(63)の後継者として、河内鴨ブランドのさらなる普及に奔走する。「ヒナの可愛さもバエる(映える)けど、やっぱり河内鴨をたくさんの人に味わってもらいたいんですわ」と訴える。


「合鴨(アイガモ)」の名が生まれた大阪・河内松原。
歴史をさかのぼること戦国時代、琵琶湖畔の鴨肉を好んで食した豊臣秀吉が、近江・長浜から大阪城に居を移した時、大阪城の東から河内松原にかけて広がる湿地帯がアイガモの生産地になった。
融点が体温より低く、口溶けの良さが売りの『河内鴨』ブランドのファンは多い。
2019年のG20大阪サミットでは、首脳夕食会・カクテルの食材としても振る舞われ、「脂の甘みと旨味が素晴らしい」と各国首脳の舌をうならせた。








