暑さが少しずつやわらぎ、朝夕に秋の気配を感じる日が増えてくる9月。まだ残暑が続く一方で、自然界では、季節が夏から秋へと移り変わっています。
古くから伝わる暦「七十二候」には、そんなわずかな変化を捉えた言葉が並んでいます。
9月の七十二候について、播磨国総社射楯兵主神社(兵庫県姫路市)祭務部の尾崎祐彦さん(※﨑はたつさき)に話を聞きました。

9月上旬の「禾乃登(こくものすなわちみのる)」は、稲などの穀物が実りはじめるころを表します。「禾(のぎ)」とは、稲や麦などの穂先にある細い毛のような部分のこと。春に植えられた稲が成長し、収穫へ向かっていく季節です。

続く「草露白(くさのつゆしろし)」では、朝の草に露がつき、光を受けて白く輝いて見えるころを表現しています。昼間はまだ暑くても、朝晩の空気が少しずつ変化していることを、昔の人々は草についた露から感じ取っていたのでしょう。

9月中旬には「鶺鴒鳴(せきれいなく)」、続いて「玄鳥去(つばめさる)」が訪れます。セキレイの鳴き声が聞こえるようになり、春に日本へ渡ってきたツバメが南へ帰っていくころです。
秋分のころには、「雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)」という候を迎えます。夏の間に聞こえていた雷の音が次第に少なくなっていく様子を表した言葉です。
秋が深まると、「蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)」へ。冬に備えて虫たちが土の中などへ身を隠しはじめるころとされています。
実りがはじまり、草に露がつき、鳥が渡り、虫が姿を隠す――。一つひとつは小さな変化ですが、並べてみると、季節が確実に秋へ進んでいることが分かります。





