おでんに田楽、ぶり大根にみぞれ鍋と、冬の料理に大活躍の大根。そして今回は、そんな大根の中でも、砂で育つ、歴史ある干拓地、兵庫県たつの市御津町産の大根、いわゆる“御津の大根”に注目した。
干拓とは、海や干潟、水深の浅い湖沼や浅瀬を仕切り、その場の水を抜き取り、陸地にして、主に農地として開拓した場所のこと。立派に育つ“御津の大根”は、たつの市御津町の「成山新田」という干拓した農地の砂で育った。
たつの市御津町の干拓地は、歴史ある場所だと御津園芸組合の組合長、丸田裕史さんは教えてくれた。大正時代、成山徳三郎氏が開拓を行い、「成山新田」という名の農地ができあがったそうだ。そんな「成山新田」は三方を海で囲まれており、広さは72ヘクタール。阪神甲子園球場約18個分の広さだ。
そこで育つ“御津の大根”とは、他の大根と何が違うのか。
まず、“御津の大根”は『秋の翼・健雄・冬侍・冬神楽』の主に4品種となる。そして砂地で育つ大根は、見た目こそ違いはないものの、土で育つ大根とは違い、やわらかく・甘味がある大根となるそうだ。“御津の大根”を炊いて食べると、違いが一目瞭然だという。また、“御津の大根”は冬大根となるのもあり、葉の部分は食べることができない大根となる。
集荷場にも、お邪魔させていただいた。“御津の大根”にはサイズもたくさんあり、大きい物から、『5L・4L・3L・2L・L・M・S・規格外』となる。またその中でも『秀品・優品』の2種類にここで分けられ、各市場に出荷される。出荷する市場は兵庫県をはじめ、京都府・大阪府・奈良県となる。
箱の中を特別に見せていただくと、葉がきれいに切り揃えられていた。“御津の大根”は葉は食べない品種だというが、詳しく話を聞くと、大根は葉を5~10センチメートル残し、切り捨てることで、出荷時の見た目はもちろん、水分が飛んでしなびてしまうのを防ぐためで、葉があると、それだけで棚持ちが悪くなってしまうそうだ。