感染症対策として設置されたパーテーション越しの会話を聴きとりやすくするシステムを、神戸市に本社をおく音響機器とセキュリティ機器の専門メーカー「TOA株式会社」が今年1月に発売した。
昨今のコロナ禍では、店舗のレジや、公共施設・病院の受付窓口などにおいて、飛沫防止を目的としたマスクの装着やパーテーションの設置が一般的。しかし、その結果、施設利用客と店員・窓口スタッフとの会話が聴きとりづらくなり、コミュニケーションを阻害する要因にもなっている。
TOAが発売した「パーティション取付型 会話補助システム」は、電源の入り切りや音量調節を行う親機1台と、マイクとスピーカーを搭載した子機2台がセットになっているもの。パーテーションを挟み込むように子機を取り付けることで、双方向の声を収音・拡声することが可能だ。
大きな特長として、ユニットが声を検知すると、パーテーション等の影響を受けやすい音域のみ補う仕組みとなっている点があげられ、必要な範囲に最適な音量で音を届けることができる。
さらに、縦横6センチメートルほどの大きさの子機は、背面のマグネットを合わせるだけで誰でも簡単に取り付けることができる。親機もコンパクトなつくりのため、設置場所に困らない。
飲食・小売店のレジ、市役所等公共機関のインフォメーションセンター、企業の受付窓口などにおいて、感染症対策と、施設利用客との円滑なコミュニケーションを両立するのに最適な商品である。
商品発売前には、神戸市内4か所(神戸市役所、東灘区役所、長田区役所、垂水区役所)でフィールドテストが行われ、その結果に基づく最終調整が反映されたのちに、2021年1月8日に発売された。
この商品の開発に携わったTOA株式会社グローバル開発本部コアプロダクト開発部音響機器開発課の阿部寛(あべ・ひろし)さん(39)は「パーテーションによって聞こえづらくなったこの音環境を少しでも良くしたい、という強い想いを胸にこの商品開発に臨みました。ただの拡声装置ではなく、より自然な会話補助となるように、失われた音域を補うことを目的の一つとして開発した商品です。今、社会が直面しているレジや受付での聞き取りづらさを解消し、よりスムーズなコミュニケーションとなるようサポートしたい」と語った。