瀬戸内海に春の訪れを告げる、イカナゴのシンコ(※新子=稚魚)漁について、兵庫県水産技術センター(明石市)が2021年のシーズンも兵庫県内のすべての海域で「不漁」と予報した。不漁の予報は2017年以来5年連続となるが、2021年の解禁日は3月6日に決まった。
漁期前の調査で産卵や稚魚の数量は平年を大きく下回った。原因の1つとして水質の改善による魚介の栄養源の窒素不足が指摘されている。
播磨灘・大阪湾・紀伊水道の県内3海域で2020年12月から2021年1月に行われた調査によると、産卵量は昨シーズンからほぼ倍増、稚魚数も増えるなど、2020年のシーズンから持ち直した傾向はあるが、「平年を下回り、低調に推移する」結果となった。
シンコ漁は極端な不漁が続き、兵庫県は2019年10月に窒素などの海中濃度を高めるなどとした改正条例を成立させた。明石浦漁協の関係者は「これまでは海水温の異常や海中のプラスチックごみの影響で、名産の『明石ダコ』が不漁だった。さらにコロナ禍が追い打ちになり、海産物の売り上げが激減している。魚介類が大きく値崩れする中、飲食店の営業自粛・休業で流通もストップ。ここにきて不漁のイカナゴが解禁されても、漁の期間を短縮するなどの対策を練らないと乗り切れない」と話す。
2021年のイカナゴ漁の解禁日は、漁業者による2月下旬の試験操業などにより、3月6日に決まった。暖冬だった昨シーズン(2020年)と比べ水温が低めなため、シンコができる限り育つように配慮。昨シーズンの解禁日(2月29日)より遅らせた。
※「シンコ(新子)」今年生まれたもの(体長2~6㎝程度)
※「フルセ(古背)」2~3年魚(体長10~13cm程度)