学校法人「森友学園」の小学校建設計画をめぐり、国や大阪府、大阪市の補助金をだまし取ったとして、詐欺罪などで一審・大阪地裁で有罪とされた学園の前理事長(68)と妻(64)の控訴審初公判が7日、大阪高裁で開かれ、両被告は一審判決に「事実誤認がある」と主張し、改めて起訴内容の大半を否認した。
両被告、検察側の双方が控訴。一審で両被告側は「詐欺の故意や共謀はなかった」と無罪を主張し、検察側はいずれも懲役7年を求刑していた。2020年2月19日の大阪地裁判決は元理事長を犯行の中心的な立場にあったとして懲役5年とし、妻は府市の補助金詐取を無罪とした上で、国の補助金詐取で懲役3年・執行猶予5年としていた。
一審判決によると、両被告は2011~17年、大阪府豊中市の国有地で開校予定だった小学校の建設費を水増しして国の補助金約5644万円を詐取。泰典被告は教員数などを偽り、府市の補助金計約1億2千万円を詐取した。
検察側は控訴審で、妻は学園の経理業務を統括する立場だったとして、府市の補助金分も含め「詐取の認識があった」などと改めて訴えた。一方、弁護側は国の補助金は「設計業者が詐取を主導した」として両被告の無罪を改めて主張。府市の補助金では元理事長の独断による虚偽申請は認めた上で、量刑のより軽い補助金適正化法違反にとどまるとした。次回(第2回)は6月21日、被告人質問が予定されている。
森友学園の一連の問題をめぐっては2017年2月、財務省・近畿財務局が国有地を大幅値引きして売却した事実が発覚。財務省による決裁文書の改ざんも明らかとなり、当時の財務省幹部らが刑事告発されたが、大阪地検・特捜部は2018年5月に不起訴処分とした。