現金処理機というイメージはもう古い… 貨幣処理機大手、デジタル社会を見据えた新事業開発 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

現金処理機というイメージはもう古い… 貨幣処理機大手、デジタル社会を見据えた新事業開発

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 貨幣処理機大手のグローリー(兵庫県姫路市)が、長年培った強みである「認識・識別技術」=「見分けるチカラ」と「メカトロ(機械電子)技術」、近年磨き上げている「データアナリティクス(分析)技術」とを融合させ、来たるべきデジタル社会に備える新しい事業・サービスの開発を国内外で加速させている。

 グローリーの主戦場は、銀行が主の金融市場と小売や飲食店などの流通市場。両市場では近年、デジタル化が急速に進んでいる。

 例えば、英国市場ではコスト削減のために銀行の支店閉鎖やATMの撤去が進んでおり、特に郊外で金融サービスの低下が社会問題化している。そこで登場したのが「ワンバンクス」という会社。現金の預け入れや引き出し、請求書の支払いといった業務を複数の銀行から一手に受託・代行するというスタートアップ企業で、グローリーはこのワンバンクスに出資した。自社製品供給していくだけでなく、業務代行サービスの他国展開を視野に入れてのことだ。当然、両者の技術を組み合わせた新しいサービスの開発も狙っている。

銀行の支店業務を受託・代行する英国の「ワンバンクス」

 流通市場でのユニークな取り組みは、食料品店での消費者行動の“見える化”。現在、神戸市須磨区にある生活協同組合コープこうべの「コープ横尾」で実証実験中だ(〜10月17日まで)。この実験では、トマトに5味(甘味、酸味、うま味、苦味、塩味)の判定結果を添付して商品棚に陳列。これにより客が買うかどうか、さらに、買った客には後日、味に対する評価や価格の妥当性などのアンケートに答えてもらい、それらの情報をデータとして蓄積・分析していくというもの。細かく消費者ニーズを把握することで、小売店の仕入れ効率化や農家や店舗などのフードバリューチェーンでのフードロス削減につなげていくことが狙いだという。

グローリーが「コープ横尾」で実施している青果販売の実証実験

 ほかにも、グローリーは、ドイツの鉄道会社とIoT対応の自動販売機を開発した。24時間年中無休で生鮮食料品を購入できるという便利な装置で、販売側も販売機内の冷蔵ユニットの温度管理や在庫管理がグローリーを介してできるようになっているので、効率的に商品補充することができる。これも実証実験中ということで、今はミュンヘン市内の2駅に設置しているだけだが、いずれは全駅への設置を目指すという。

グローリーがドイツの鉄道会社と開発したIoT対応の自動販売機

 このようにグローリーでは、DX(デジタルトランスフォーメーション)の進展やコロナを契機とした人々の価値観の変容が新しいビジネスチャンスとなって社内で次々と革命的変化が起きている。グローリーと言えば“現金処理にまつわるビジネス”という固定イメージはもう古くなっている。(播磨時報社)

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