岡山県の県北地域「美作」は、“美しい酒と書いて、みまさけの国”と言われ、そこから「美作」になったという説もあるほど、日本酒の製造が盛んな地域。また、酒の肴にぴったりな商品も揃っている。今回はそのなかから、今冬おすすめの美作産の日本酒とおつまみを紹介する。
【美作の日本酒3選】
◆「加茂五葉 純米雄町」(多胡本家酒造場)
1660年代に酒造りをはじめ創業350年を迎える酒蔵・多胡本家酒造場(津山市)のブランド「加茂五葉」。蔵のそばを流れる加茂川の伏流水を仕込み水に使い、その加茂川の「かも」と創業時から植えられた五葉松からとって、その名が付けられた。なかでも、純米酒「加茂五葉 純米雄町」は、岡山で生まれた雄町米を100%使用し、芳醇な香りと酸味の利いたやや辛口でなめらかな口当たりとバランスの良いうま味が魅力の日本酒。多胡本家酒造場の多胡真佐子さんは、「多胡本家酒造場のお酒は、食中酒としてお食事と一緒に楽しんでいただきたいという思いでつくっています」と語る。
◆「作州武蔵 初しぼり」(難波酒造)
難波酒造(津山市)の「作州武蔵 初しぼり」は、「寝ないで造った酒は、寝ていても売れる」と、先人の言葉を守り、基本に忠実につくられている日本酒。「良いお米だけを選び抜いて、白く白く磨いて、備中杜氏流の丸米蒸し仕込みをしっかり守って、お酒を作っています」というのは、難波酒造の女性当主、難波弘美さん。「お米も岡山県産にこだわり、全職員一丸となって、厳選された極上米だけをふんだんに用い、手造りの技でじっくりと時をかけ醸し出します。他では味わうことのできない独創の地酒が『作州武蔵』です」と胸を張る。その中でも、初冬にしか飲めない「初しぼり」は、“衝撃の酒”と言われているそうだ。初しぼり生原酒・辛口新酒独特の強烈な香りすっきりした切れ味が特徴。アルコール度数は20度ある。
◆「宙狐 純米原酒」(田中酒造場)
純米原酒の力強さがあり、しっかりとしたうま味が光る日本酒、田中酒造場(美作市)の「宙狐 純米原酒」。「宙狐」というのは、中国地方の山間部における怪火「きつね火」の別称で、「宙狐」が出る時は、何か良いことが起きる前兆と言われる。製造する田中酒造場も、昔ながらの技法で丁寧な酒造りを心掛けている酒蔵の1つ。蒸米は直火炉による和釜蒸し、搾りは槽(ふね)と呼ばれる搾り機を使用。また、最近見直され、やさしい味になるという酒袋で搾っている。飲み方について、「あまりこだわらずに飲んでいただきたい。こうでなくてはならないということはないので、ご自分にとっておいしい飲み方を探していただきたい。日本酒は普段から気軽に飲んで欲しい」と、田中酒造場の田中宏幸さんはコメントしている。
【美作のおつまみ2選】
◆「鹿肉ときのこのコンフィ」(鏡野やま弁クラブののもん)
鏡野町の企業組合鏡野やま弁クラブののもんが出す、ホロホロと口の中で溶ける食感で、そのままでもおいしく味わえる一品、「鹿肉ときのこのコンフィ」。サラダやパスタに使うなどアレンジも楽しい。ジビエ料理で気になる臭みも感じない。ちなみに、「ののもん」とは、「野のもの」という意味で、同組合では鹿肉をはじめとするジビエ料理や、野菜、山菜などを使った商品を販売している。
◆「辛子なす」(西本農園)
日本酒にはピッタリなのが、美作市の西本農園からは、「辛子なす」。岡山県の千両なすを使用し、和からしや米麹などを使って漬けていて、辛味の中にもうま味を感じる。また、辛党向けの「辛口」もある。お酒のおつまみはもちろん、ごはんのおともにも最適。同農園ではキムチも人気だ。
美作産のこれらの商品は、各社のオンラインショップなどでも購入できる。
※ラジオ関西『オーモリ★チキチキ 岡山県北 ビバ!ミマサカ』2021年12月14日放送より
【多胡本家酒造場】
【難波酒造】
【田中酒造場】
【企業組合 鏡野やま弁クラブののもん】
【西本農園】