生活保護費の基準額引き下げは憲法25条が保障する生存権の侵害だとして、兵庫県内の40~80代の受給者24人が神戸市など居住自治体4市に引き下げ処分の取り消しを求めた訴訟で、神戸地裁は16日、原告の訴えを棄却した。
原告側弁護団によると、29都道府県で起こされた同種訴訟(計30件)で7件目の判決。これまで大阪地裁判決(2021年2月)が引き下げを違法として処分を取り消したが、札幌、名古屋、金沢、京都、福岡の5地裁でも原告の請求が退けられ、判断が分かれている。
訴状などによると、国は2008年のリーマンショック(〜2011年)時に物価が下落した(下落率4・78%)として2013年8月から3年間で基準額を平均6.5%引き下げ、保護費計約670億円を削減。
原告らは、居住する神戸、尼崎、明石、伊丹市が原告への支給を減額したのは、「健康で文化的な最低限度の生活」のためには不十分で、憲法25条や生活保護法に違反すると主張。
一方、被告の4市側は、引き下げの根拠としてリーマン・ショックによる「2008~11年の物価下落」の物価下落を挙げ、基準額の引き下げは物価が安くなる「デフレ」の調整にすぎず、その変更は厚生労働大臣の裁量内として請求を退けるよう求めていた。
判決で神戸地裁は「デフレ調整を行った厚生労働大臣の判断過程や手続きに欠落はなかった」などと判断、原告の訴えを棄却した。