京都府の綾部市志賀郷で、アイターンした移住者が運営する企業が、昔ながらの製法でしょうゆ(醤油)を製造するほか、自宅でしょうゆが作れるキットの販売なども行っている。そんな同社が企業を立ち上げたきっかけ、しょうゆづくりへの思いとは……。
◆移住してきた9家族で運営する「今しぼり」
「私はもともと、大阪で高校教師をしていたんですが、自然の中で暮らし、自分が食べるものは自分で作る、そんな暮らしをしたくて志賀郷へ移住してきました」。そう語るのは、「株式会社今しぼり」の代表・多田晃さん。自身と同じ移住者やアイターンの家族と出会い、中にはまだ若い世代もいたことから「安定した収入を得られるよう、自分たちで会社を作ろう」と思い立ち、同社を5年前に設立した。
「今しぼり」で造られるしょうゆは、昔ながらの「古式製法」。大豆と小麦で麹菌を発酵させ、塩水に溶かして2年ほど寝かせて熟成させるというものだ。昔はどの地域でも同じ製法でしょうゆが造られていたが、科学技術の発展により発酵時間が短縮され、今では安価で大量生産できるものに。今や世界中に知られている「しょうゆ」の、本来の製法、本来の味わいが失われていくことに疑問を感じ、同社ではあえて昔ながらの製法を採用したという。
◆自宅で昔ながらのしょうゆが楽しめるキット
多くの人に昔ながらのしょうゆが持つ魅力を知ってもらいたい、そんな思いで生まれたのが同社の「育てる醬油キット」(税込3,080円)。古式製法で造られたしょうゆ麹とビンがセットになっており、自分で仕込んだできたてのしょうゆを食べられる、作る楽しさと食べる喜びが魅力だ。
また、一般的には液体として売られていることが多いしょうゆだが、「今しぼり」は、液体にする前段階の“もろみ”をビンに詰めた「今しぼり醤油」(税込864円)も販売中。半固形状態で、香りや色はしょうゆそのもの。そのまま調味料として使用できるが、布か別売りのしぼり器を使って“世界一新鮮なしぼりたてしょうゆ”として味わうことも可能。さらに、絞った後に残った「粕(かす)」も、うまみが濃縮された大豆と小麦の繊維のため、捨てずに食べるのがおすすめだという。「(粕に)オリーブオイルやごま油、鷹の爪などを混ぜると、『食べるしょうゆ』になります」(多田さん)。
■株式会社今しぼり
【公式HP】
【公式ショッピングサイト】