「栄養素のバランスがとれた食事」「腹八分目を心がける」「朝食を抜かず、1日3食」など、健康のために心がけている食習慣は人それぞれ。その際、重要になってくるのが、食べたものの種類や量を正しく測ることだといわれています。しかし、食べた量を正しく記録するのは簡単ではなく、「太っている人ほど食べた量を過小申告する」という気になる調査結果も……。
では、食習慣を記録する上で注意すべきことは何でしょうか。生活協同組合「コープこうべ」で検査活動を行っている商品検査センターの羽田野達也さんに聞きました。
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【羽田野達也さん】私たち、コープこうべの検査活動は1967年にスタートしました。当時、農薬や食品添加物の安全性が問題になっており、「安心して食べたい」「安全な食品がほしい」という組合員の切実な声にこたえて、全国の生協で初の検査室が設置されました。以来、組合員の視点に立って、微生物、残留農薬、食品添加物、放射性物質などの検査を日々行っています。また、2017年からは、商品だけではなく、お一人おひとりの食習慣やカラダを「はかる(計る、測る、量る)」ことで“健康づくり”のきっかけづくりを提案する「はかるたいせつプロジェクト」に取り組んでいます。検査活動や「はかるたいせつプロジェクト」について定期的にお届けできればと思います。
みなさんは「栄養疫学」という学問をご存じでしょうか。人の食べているものと健康の関係を明らかにする研究領域で、実際に生活している人を対象に、その人がどのようなものを食べ、どのような健康状態なのかを調べます。その結果、「○○という食べ物が□□という病気を防ぐ」ことが本当に人で起こるのか、ということを明らかにします。
そのためには、人がどのようなものを食べているのかを測定すること、つまり食習慣を「ハカル」ことが欠かせません。専門的には「食事調査」と言い、食べた食材の種類と秤で量ったその食材の重さを細かく記録してもらう方法や、質問票で食べた食材の頻度や量を尋ねる方法などがあります。これらはすべて、本人からの『自己申告』による方法なんです。
この自己申告がくせ者です。厚生労働省のまとめによりますと、自己申告で測定したエネルギー摂取量は、実際の摂取量よりも少なくなる傾向にあることがわかっています。人は、自分の食べたものを正確に申告することができず、忘れてしまったり、記録モレを起こしたりして、少な目に申告してしまうようです。
また、さらに興味深いのは申告した人のエネルギーの摂取量と、その肥満度の関係を調べたところ、肥満の人ほど食べたものを少なく申告する度合いが大きくなる傾向にあることがわかりました。
※ラジオ関西『三上公也の朝は恋人』内「コープスコープ はかるたいせつ」2022年4月19日放送回より
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