政府は9月27日に実施する、安倍晋三元首相の国葬の費用として、2022年度予算の一般予備費から約2億5000万円を支出することを26日、閣議決定した。会場設営費などの式典費用として算出した。
そして9月、政府は警備費や外国要人の接遇費など約14億円を加え、総額約16億6000万円と見積もった。追加分の内訳は、警備費約8億円、接遇費約6億円、自衛隊儀仗(ぎじょう)隊の車両費などが約1000万円となる。式典費用はいずれも今年度予算の予備費から支出するという。
戦後では、1967(昭和42)年10月31日に吉田茂元首相の国葬が行われたのが唯一の例で、首相経験者の国葬は2例目となる。
故・吉田元首相の場合はサンフランシスコ講和条約を締結し、敗戦以来続いていたアメリカによる占領を終結させた功績が、国葬開催に至った根拠とされている。
1926(大正15・昭和元)年に制定された国葬令は戦後、 日本国憲法の施により ”政教分離”の観点から1947(昭和22年)12月31日限りで廃止された。 この時、「法律的にも制度上にも国葬についての規定がないので、国葬(国葬儀)に踏み切るまでには、あらゆる角度からその是非が検討」されたと明記されている。
岸田文雄首相は、早々と安倍元首相の「国葬」(正式名称は「故安倍晋三国葬儀」)を行うことを決めた(7月14日に発表、22日に閣議決定)。
しかし、日が経つにつれ、国が費用を全額負担することや、旧統一教会をめぐる政治家との関係が注目され、国葬への賛否が割れている。
■「全国民の納得、共感は難しい」