9月15日(木)〜25日(日)の期間中、豊岡市を中心とする兵庫県北部エリアで開催される「豊岡演劇祭2022」。まちづくりに演劇の力を生かすことを目的に約80団体が参加し、100を超える催しが楽しめる日本最大級の演劇祭だ。
フェスティバルディレクターを務める劇作家・演出家の平田オリザさんが自身のラジオ番組(ラジオ関西、木曜午後1時~『平田オリザの舞台は但馬』)で見どころなどを語った。
昨年は新型コロナウイルスによる緊急事態宣言の発令で、直前の中止となった同演劇祭。2年ぶりの開催となる今回は、国内外から最先端の演劇作品を招聘(しょうへい)したディレクターズプログラム9団体10演目に加え、公募で集められたフリンジプログラム約60団体も参加。養父市や香美町にもエリアを拡大し、木造の農村舞台や明治時代に開館した芝居小屋など、地域資源もあわせて楽しめる催しとなっている。
演劇祭のオープニングを飾るのは、城崎国際アートセンターで上演される『思い出せない夢のいくつか』(カミーユ・パンザ/エルザッツ)。この作品はもともと平田オリザさんが俳優・緑魔子さんのために書き下ろし、1994年に青年団第3回プロデュース公演として上演された作品だ。
演出を務めるカミーユ・パンザ氏は、平田さんのフランスでの公演(『別れの唄』平田オリザ作/ロラン・グッドマン演出)を観て演劇を志し、ブリュッセルの国立演劇学校INSASでの卒業公演に本作品を選び、マリー=ポール・ゴデンヌ賞を受賞。2018年ベルギーでの初演も高く評価され、ベルギー批評家賞最優秀新人賞も受賞した。今回の豊岡演劇祭で、待望の日本公演が実現した形だ。
往年の人気歌手と若い付き人、マネージャーの3人が夜汽車で移動する際に起こる想いの交錯を、INSAS卒業メンバーで構成するカンパニー「エルザッツ」が演じる。
17日(土)には、豊岡市民会館で舞踏カンパニー「山海塾」による『降りくるもののなかで―とばり―』が上演される。
後方からは6600個もの星々が降り注ぎ、舞台上では2200個のはかなき命が発光。宇宙の輪廻転生(りんねてんしょう)を生命が止まることなく一方向に進むという美しい世界観を、1時間半の潮流として展開する。
本作はこれまで14か国37都市で上演を重ねてきた代表作であり、1975年の創設以来、但馬地域で初上演となる。さらには、1回限りの公演であることから、平田さんも「絶対に見た方がいい」と太鼓判を押す。