ひきこもり経験者が振り返る、ひきこもりの発端とひきこもり中の胸の内 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

ひきこもり経験者が振り返る、ひきこもりの発端とひきこもり中の胸の内

LINEで送る

この記事の写真を見る(2枚)

 大きな社会問題として周知されながらも、その実態が見えにくい「ひきこもり」。中高年のひきこもりの人たちを高齢の親が支える「8050問題」がクローズアップされる中、神戸市福祉局ひきこもり支援室(神戸ひきこもり支援室)は市民に向け、オンラインによる講演会「令和4年度市民向けひきこもり講演会~経験者から学ぶひきこもり~」を開催している。専門家に聞いた同問題の現状や支援策などとともに、実際にひきこもりの時期があった経験者の話など、講演会の内容を全3回に分けて紹介する。第2回は、ひきこもりを経験した二人の男性に、ひきこもりに陥ったきっかけやひきこもり中の葛藤などを聞いた。

【第2回出演者 紹介】
〈ひきこもり経験者〉
・米夫さん(仮名)
34歳男性。母と2人暮らし。小中学生の頃から人間関係に悩むことが多かった。中学時代はバレーボール部の部長。学校の成績は良かったが、技術家庭の実技などは苦手だった。現在は経理や会計の仕事をしている。
・トシさん(同)
39歳男性。父、母、祖母との4人暮らし。子どもの頃は人見知りで、1人で遊ぶことが多かった。家族との関係が悪い時期もあったが、現在は風呂掃除やパソコンの修理を引き受けるなどしており、関係は良好。気になったことは何でもパソコンで調べる。

☆☆☆☆☆

▽きっかけは高校時代
―ひきこもりのきっかけを教えてください。

米夫:僕は高1の夏休みの終わりから不登校になったのですが、きっかけは人間関係のトラブルでした。元々、新しい環境に入っていくのが苦手でしたが、中学時代はペーパーテストが得意で、それをきっかけにクラス委員になったり、部活の部長になったりして、立場ができていきました。でも、高校では勉強を頑張れなくなり、クラスの人間関係にもなじめず、中学時代と違い、どうしていいか分からないことだらけで、高校生活全体についていけない感覚が強くあり、毎日が不安でした。それでも、頼りにしていた小中高と一緒だった友人がいたのです。が、その友人をだまして裏切る行為をしてしまいました。それでその友人に絶交されてしまい、そのことがひきこもるきっかけになりました。

―ご友人との関係で。すごくショックを受けられたのでは。

米夫:そうですね。自業自得だなとは思いましたが。

―他に相談できる人はいなかったのでしょうか。

米夫:他の友達にも、親にも言えませんでした。1人で抱え込んだまま、学校に行かなくなってしまいました。

―トシさんはいかがでしょうか。

トシ:僕は中学時代からだんだん体調不良を覚えるようになりました。急激な貧血、あと視界がザーッと、まるでアナログテレビの〝砂嵐〟みたいな状態になることもちょくちょくありました。高校に上がったら勉強が高度になり、量も増えていき、元々時間の使い方が下手なのもあって、気付いたら何時間も経っていたということもあった。体がついていけなくなっていきました。そして試験中、腹痛でトイレに行き、教室に戻ったらテストがほぼ終わっていて受けられなかったということが起こった。これが一番大きなきっかけですね。それ以降、「ここは居場所がない」と感じるようになりました。学ぶことに抵抗感はありませんでしたが。

―勉強したいという意欲は持ち続けておられたのですね。

トシ:ただ、当時はそう思っていましたが、今にして思うと、自分自身でそうあってほしいと演出していたというか、すがるような気持ちがあったと思います。

講演会収録の様子。経験者2人(手前)の話に耳を傾ける船越明子・神戸市看護大学教授(右)と、進行の南かおりさん(左)
講演会収録の様子。経験者2人(手前)の話に耳を傾ける船越明子・神戸市看護大学教授(右)と、進行の南かおりさん(左)
LINEで送る

関連記事