幅広い層に人気を博しているジャニーズのアイドルグループたち。その直接的な原点はどこにあるのでしょうか?
今回はシブがき隊、少年隊、光GENJIなど1980年代に活躍したジャニーズのアイドルグループたちについて、シンガーソングライター・音楽評論家の中将タカノリと、シンガーソングライター・TikTokerの橋本菜津美が紹介します。
【中将タカノリ(以下「中将」)】 今、ジャニーズではKing & Prince、Snow Manなど、いろんなグループが頑張っていて、おじさんにはちょっと追いきれないくらいになっているのですが、今みたいなアイドルグループの直接的な原点ができたのは1980年代だと思うんですよ。もちろん初代ジャニーズやフォーリーブスもあるんですが、1980年代初頭の田原俊彦さんや近藤真彦さんら、「たのきんトリオ」のブレイクを経て、いろんなグループが出てきた頃から路線や商法が固まってきたなと。
【橋本菜津美(以下「橋本」)】 今回は女子たちがウキウキしそうなテーマですね! 1980年代といえば、どんなグループになるんでしょうか?
【中将】 いくつもありますが、1980年代初のグループアイドルは、シブがき隊ですね。テレビドラマ『2年B組仙八先生』(TBS)に出演した布川敏和さん、本木雅弘さん、薬丸裕英さんによって結成されたんですが、学園ドラマを経て本格デビューというのは「たのきん」の3人と同じコースですね。デビュー曲は「NAI・NAI 16」(1982)です。
【橋本】 これは知ってます! シブがき隊の曲という知識はありませんでしたが、印象的な曲ですよね。
【中将】 最近は「ファンケルの発芽米」のCMソングにもなってますしね(笑)。
【橋本】 私は思いっきりそれで知りました(笑)。でもアイドルなのになんでこんなグループ名になったんでしょうか?
【中将】 「Seventeen」(集英社)という雑誌の投票で決まったんです。そのまんま「渋いガキ」という……(笑)。初めは「シブがきトリオ」だったそうだけど、当時は「〇〇トリオ」というのが流行りすぎていたので、ジャニー喜多川さんが「隊」に変えたそうです。
【橋本】 ちょっと笑いに走ったグループだったのかな……という印象があるんですが、どうなんでしょう?
【中将】 その認識で正しいと思います。「ZIG ZAG セブンティーン」(1982)、「処女的衝撃!(ヴァージンショック)」(1983)、「スシ食いねェ!」(1986)など、曲名からしてインパクト狙いだし、内容も面白おかしい感じじゃないですか。ご本人たちも歌やダンスに自信がなかったから、司会やバラエティー番組で頑張ったということを打ち明けておられますしね。
でもそういう柔軟なタレント性が、後のSMAPみたいな路線につながっていくんだと思います。今だと、もっと売れたグループかもしれませんが、1980年代当時ではデビュー直後にチェッカーズや吉川晃司さんが登場してすぐに人気は頭打ちに。ジャニーズ事務所内でも本格パフォーマンスが売りの少年隊がデビューしたことで、もう太刀打ちできないと1988年に解散に至りました。
【橋本】 みなさん、解散後のご活躍のほうが大きいかもしれませんね。
【中将】 次にご紹介するのは今、名前が出た少年隊ですね。シブがき隊に遅れること3年、1985年に「仮面舞踏会」でデビューします。
【橋本】 楽曲や歌い方も洗練されていて、これぞ正統派アイドルって感じですね!
【中将】 ダンスもとても上手かったので、王子様的なアイドル好きな人には刺さったでしょうね。当時、日本のアイドルの劣化を嘆いていた業界人や評論家にも、少年隊だけは支持するという人がいたくらいです。
デビュー後も「君だけに」(1987)、「じれったいね」(1988)などのカッコいい路線のヒット曲を連発していきますが、1990年代に入ると少しずつ活動が停滞。2020年末には錦織一清さん、植草克秀さんがジャニーズ事務所を退所して、ほとんど解散状態になってしまったのが残念です。
【橋本】 東山紀之さんは今でも存在感があって、ジャニーズのレジェンド的な存在になっていますよね。