青鬼・赤鬼 春を呼ぶ!四股を踏み、松明かざす千年の舞踏 姫路の名刹・書写山円教寺 | ラジトピ ラジオ関西トピックス

青鬼・赤鬼 春を呼ぶ!四股を踏み、松明かざす千年の舞踏 姫路の名刹・書写山円教寺

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 西の比叡山と称される書写山円教寺(天台宗別格本山 兵庫県姫路市書写)で18日、一千年以上続く「修正会(しゅしょうえ)・鬼追い会式」が営まれた。

 円教寺の修正会は、開山した平安中期の高僧・性空上人(しょうくう 910年~1007年)の入滅後間もなく始められたとされる。鬼追いは、かつて夜通し行われていたことから、本来は本殿・摩尼殿(まにでん)の扉が完全に閉じられた暗闇で、ろうそくと松明の炎だけを頼りに書写山の鎮守、「若天(わかてん)」「乙天(おとてん)」と呼ばれる赤鬼と青鬼(護法童子)の舞が続く。

 性空上人の出自は京都の橘氏とされ、早くから山岳仏教を背景とする聖(ひじり)として、多くの霊験があったという。このうち、青鬼は不動明王の化身で、悪霊を追い払う宝剣を握る。赤鬼は毘沙門天の化身で、槌を背負い、右手で鈴を鳴らし左手で松明を振りかざして火の粉を散らして四股を踏み、大地を浄めて五穀豊穣を祈る。いずれの鬼も性空上人に仕えたと伝わるが、これらの鬼には角がない。

 円教寺では新型コロナウイルスの感染拡大防止対策を施し、「密」にならない空間を確保するため、摩尼殿の扉をすべて開放して3年目となる。通常ならば、摩尼殿で参拝者に向けて撒かれる無病息災を祈祷した箸 「鬼の箸」は、今年もコロナ感染対策で抽選で配った。

修正会での摩尼殿 扉は開けられたまま、3年目を迎えた
「牛王宝印」が押された祈祷札「鬼の箸」

 赤鬼・青鬼の役は、書写山の麓に住む梅津家が担う。梅津家の先祖は、性空が修行の地とした九州から連れ立ち、書写山麓に住んだのが始まりとされる。それ以来、一千年を超える歴史の中で円教寺を護り、仕えてきた。

 かつて赤鬼を演じ、現在は鬼の世話役・承仕(じょうじ)を務める梅津良彦さん(64)は「書写という“山”に春を呼び込むのが鬼たちの役目。全国的にみても、神仏の化身としての鬼は珍しいのではないか。角がないのが本当の鬼ではない証拠。円教寺の修正会は本来、真夜中に行われていただけに、“暗闇の舞”というイメージが強いが、長引くコロナ禍で扉を開け放ち、その時世に合わせた様式で伝統を守りたい。コロナが完全収束し、従来のように摩尼殿の扉をすべて締め切った姿に戻すことができれば」と話した。

円教寺修正会では恒例、秘仏・六臂如意輪観世音菩薩も、この日開帳された。

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