念願のマイホームを手に入れたのに欠陥があった……。ほかにも、購入した当初は問題がなくても時間が経ってから問題が見つかることも珍しくありません。「住宅に問題がある」「工事内容が約束と違う」「建築代金を払ってくれない」などの住宅紛争について、弁護士や建築士が関与し解決を目指してくれる住宅紛争審査会という機関があることをご存知でしょうか。
住宅に欠陥が見つかったらどうすればいいのか、トラブルを避ける方法はあるのか。兵庫県弁護士会の住宅紛争審査会で委員長を務める矢形幸之助弁護士に聞きました。
――住宅紛争審査会とはどのような存在なのでしょうか。
【矢形弁護士】 住宅紛争審査会というのは、住宅瑕疵(じゅうたくかし)について紛争が生じた際の処理を専門に扱うものとして、国土交通大臣から指定を受けた機関です。役割は大きく分けて2つあります。
ひとつは「裁判外での紛争処理をお手伝いする」業務。裁判外での紛争処理というのは、たとえば、雨漏りが工事の不具合によるものなのか、どのような補修をするのか、といったトラブルについて話し合いによる解決をお手伝いしようとするものです。
もうひとつは「専門家相談」業務です。専門家相談とは、たとえば、補修については当事者間で合意されているけれども、補修方法の合理性は素人には判断できないため、建築の専門家に相談することをいいます。
――建築の知識も必要になってきますよね?
【矢形弁護士】 そうですね。住宅紛争は、建築の専門的知識や経験も必要になってきます。そのため、建築士と弁護士が一緒になって解決のお手伝いや相談業務を行い、担当する委員の先生方には法律の改正や裁判例に関する研修を受けていただき、情報のアップデートを図っています。
――住居の購入・リフォームを行う際、トラブルはできる限り避けたいものですが、方法はありますか?
【矢形弁護士】 まず、契約書や図面、あるいは仕様書がきっちりと作成されていることはもちろんですが、途中で工事内容が変更されるような場合には安易に了承せず、納得がいくまで説明を受けたり、内容を書面にして保管しておくべきです。大きな支出が伴いますから、工程表を提出してもらい、その都度チェックすることも重要です。そして、もしも現実に不具合が起きてしまった場合は、その現象を写真や動画などで記録に残しておくのがよいと思います。