食事にもおやつにもいけるパンといえば“惣菜パン”。スタンダードなものだとソーセージやコロッケ、焼きそば。変わりダネだとグラタンやちくわなど具材はさまざまですが、筆者は見つけてしまいました……。おそらく惣菜パンとしては「かなり珍しい具材」を使っているものを。販売しているのはJR垂水駅前周辺に3店舗を構える人気ベーカリー店『陸ノマル井パン(くがのまるいパン)』。今回紹介する惣菜パンは、きっとみなさんの想像を超えてくるはず!
なぜこのような惣菜パンを考えついたのかなど、詳しい話を考案者でもある同社取締役・末武達三さんに聞くべく実際に店舗におじゃましました。
その珍しい総菜パンとは「やみつきドッグ」。店の常連の間では、通称・漬物ドッグと呼ばれ親しまれています。なんと“きゅうりの浅漬け”をまるまる1本、ホットドッグのソーセージさながらにパンに挟み込んだひと品。ルックスのインパクトに思わず注目してしまいがちですが、味についても緻密に考えられているのです。
――同店の創業はいつですか? また、現在は何種類ほどのパンがラインナップしていますか?
昭和51年にオープンしました。今は全85種類のパンを販売しています。数が多いので、朝から晩までパンを焼き続けていますよ。人気のパンはクロワッサン、クリームパン、三食パンですね!
――「やみつきドッグ(漬物ドッグ)」発案のきっかけは?
10年ほど前、夏場にご来店された年配のお客様が「あっさりとしたパンが食べたい」と言われまして、それがきっかけですね。ただ、発案から販売にいたる道のりでかなり試行錯誤し、実際に店頭に並ぶまでは3年かかりました。
――どの点において試行錯誤されましたか?
きゅうりの浅漬けの塩分濃度ですね。見た目は同じようでも、実は季節によって変えているんです。たとえば、夏場は汗をかくので塩分濃度を高めにしたり。研究のために一生分のきゅうりを食べたんじゃないかな……もうね、嫌いになりそうでした(笑)
――他にもこだわりポイントはありますか?
きゅうりの浅漬けにうまみを閉じこめるため、最後に昆布出汁に丸1日漬け込むという工程を加え仕上げています。使うパンにもこだわりました。硬すぎず柔らかすぎない“ソフトフランス”を採用し、漬物の水分でパンが湿気ないよう“青じそのジュレ”を塗り込むなどしています。見た目は「パンにきゅうりの漬物を挟んだだけ」でしょうが、じつは細部までこだわっているんです。