日本三大祭のひとつ、大阪の夏の風物詩・天神祭(7月24日・宵宮、25日・本宮 )が2023年、完全復活する。この時期の関西は、祇園祭とともに夏を彩り、「祇園さんから優美を、天神さんから活気を」受け止めるのが当たり前の風景だった。
2020年、世界中を襲った新型コロナウイルスの感染拡大の影響は、あまりにも大きく、本来ならば疫病や災厄の退散を祈る儀礼だったはずが、神事やメインイベントの縮小や中止を余儀なくされた。
天神祭は、菅原道真ゆかりの大阪天満宮が鎮座した2年後の天暦5(951)年6月に始まったとされる。時代はめぐり、1981(昭和56)年には、天神祭の「宵々宮」の行事として、ギャルみこしが始まった。正式名称は「天神祭女性御神輿」。総勢80人の女性がみこし2基を担ぎ、日本一長い天神橋筋商店街を練り歩く。
最初の年は大阪天満宮への参拝は認められなかったが、翌1982(昭和57)年からは天満宮境内にも女性の元気な掛け声が響くようになった。以来、コロナ禍での3年の中止期間を経て、4年ぶりに戻ってきた。
実行委員会には、ひとつの懸念があった。例年6月からギャルみこし参加者を募集、オーディションを経てメンバーを選定するのだが、大阪の暑い夏、日中の気温上昇の中、神輿を担ぐのは、体力や気力に自信がある女性であっても非常に過酷だ。
コロナ禍前でも、応募者が減少傾向にあり、3年のブランクを経て、どれだけ応募があるのか……。しかし、応募は全国から186人。書類選考とオーディションを勝ち抜いて選ばれた80人の「本気度」は違った。
社会人2年目の泉早矢(はや)さん(23・兵庫県西宮市)は、神戸で過ごした学生時代、コロナ禍で何も思い出がない。友だちにも会えず、旅行にも行けず、自宅待機の日々は.ただ寂しいだけだったという。「みんなと、何かひとつのことをやり遂げたい」。思い切って応募した。ひとつの達成感を胸に、新たな夏のひとときを堪能した。