夏休みも終盤。楽しいはずのこの時季も、悩みを抱えたまま過ごしている子どもがいます。学校やネット上でのいじめ、家庭内での心身の虐待、地域社会での人付き合い、さらには国籍やLGBTQといったアイデンティティの問題など、子どもの逃げ場のない苦しみは多様化しています。
そのような子どもたちからの相談を、電話、メール、LINEといった色々な方法で日常的に受け止めているのが人権擁護委員です。8月23日から29日までは「こどもの人権相談 強化週間」。いま注目を浴びる文通式の相談窓口『SOSミニレター』について、兵庫県人権擁護委員連合会 兵庫こども人権委員会 会長の加登香里さんに取材し、このほどラジオ番組で伝えました。
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人権擁護委員は、法務大臣から委嘱を受けた民間ボランティアで、全国に約1万4千人、兵庫県内には475人が在籍しています(取材時点)。職業や立場も、会社員や元教師、弁護士、民生委員など様々です。
SOSミニレターは、便せんと封筒(切り離して糊付けし作成)がセットになっていて、切手代もかかりません。そして、外部に流出しないよう法務局内でしっかりと保管されています。5月から7月ごろにかけ学校で配られたほか、一部の図書館や児童館などに置かれています。
子どもにとって、SOSミニレターの良さとはどういった点にあるのでしょう。
「今の子どもは手紙文化にはなじんでいないと言えますが、手紙は、自分の心を整理しながら書くことができます。また“電話をかける勇気”よりも少しハードルが低く、相談相手が見えない、相手の声が聞こえないということも手紙の良い面だと言えます」(加登さん)
それらが功を奏してか、実際にSOSミニレターを利用した子どもの中には、2年以上、あるいは10通以上続いている子もいるなど、長続きするケースも多いそうです。