国内外で活躍する建築家・宮本佳明(みやもと・かつひろ 宝塚市出身)が手掛けた建築作品の一部を、原寸大の模型で紹介する企画展「入るかな? はみ出ちゃった。~宮本佳明 建築団地」が、宝塚市立文化芸術センターで開かれている。2023年10月22日(日)まで。
建築の展覧会というと、実物の展示は難しいことから、ドローイングや模型、写真などで実物の建築を表現することが多い。今回の企画展は、これまでに宮本さんが手掛けた建築のうち住宅・寺院・モニュメントなど10作品について、その一部を原寸大の建築模型(モックアップ)で再現。会場となった宝塚市立文化芸術センター・2階メインギャラリーの壁を取り払い、展示した。
見えているのは屋根や壁面などの一部だけで、全体像は見えない。見えない部分はギャラリーの壁や床の向こう側に「はみ出て」いる。見る側はその建築の全体像を、想像力を膨らませてイメージする。模型では味わうことができない実物のスケール感やボリューム感を、間近にいるような感覚で体感できる。
モックアップのそばには、設計から完成までのスタディ模型も展示する。完成までに建築家がどのようにイメージをつくり上げていったのかを追体験することができるほか、「完成形」の写真も展示する。
展示会場の中央にあるのは、「真福寺客殿(長野県)」の大屋根。本来なら間近で見ることができないものが目の前にある。写真と見比べることでそのスケールを実感できる。
旧甲州街道沿いに建つ都市型寺院の香林寺(東京都八王子市)。新たに加えられたファサード(建物を正面から見た時の外観)には、唐破風、宗紋、銀杏といったお寺らしい文様が小さな穴で表現され、「厚みのない山門」となった。夜にはその穴から漏れる灯りが行灯のように街路を照らし出す。