厚切りの豚肉をからっと揚げた「トンカツ」を卵でとじた「カツ丼」。定食屋の定番メニューや蕎麦・うどん屋のサイドメニューとして日本人にお馴染み。「勝つ」にちなんで受験期の“ゲン担ぎ食”としても愛されています。
そんなカツ丼、山梨県では一般的な認識のものとは少々違うスタイルで認知されているのだとか。はたしてどんなカツ丼なのでしょうか?『山梨県県民生活安全課』(山梨県甲府市)の三浦さんに話を聞いてみました。
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「山梨の飲食店でカツ丼を注文すると、ご飯の上にキャベツ、その上にトンカツをのせたものが出てきます。 仕上げとしてソースをかけるのですが、すでにかかっている場合もあれば自分でかけたりも。店や家庭によって違いがあります」(三浦さん)
はっきりとした定義・レシピは無いそうですが“山梨版カツ丼”の歴史は古く、誕生は明治時代だそうで、甲府市で360年以上の歴史を持つそば店『奥村本店』の主人が、東京で食べた“カツレツ”に感銘を受けたことから生まれたのだとか。カツレツといえば薄く切った牛肉や豚肉を揚げ焼きにした料理。当時の蕎麦屋では食器が1つだけで済む「丼もの」が主流だったため、主人がほれ込んだカツレツを丼にしたことが発祥とされています。
それでは、一般的なカツ丼を山梨県民なんと呼んでいるのでしょうか?「カツを卵でとじた丼は『煮カツ丼』と呼ばれています。どちらかといえばこちらの方がポピュラーに食べられている印象です」と三浦さん。
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山梨のカツ丼のアレンジは無限大。マヨネーズをかけたりポテトサラダやきゅうり・トマトを添えたり……トンカツソースではなくウスターソースを使用したりと家庭や店ごとにさまざまだそう。カツ丼と煮カツ丼の両方を提供する店もあるとか。山梨を訪れた際は食べ比べてみると楽しいかもしれません。
(取材・文=つちだ四郎)
◆山梨県県民生活安全課
400-8501
山梨県甲府市丸の内1-6-1
電話番号 055-223-1588