減少傾向にある市場に賑わいをもたらそうと、兵庫県神戸市内の小売市場で“市場の味”をお酒とともに味わうイベントが開催されています。
神戸市長田区の「長田中央いちば」で毎月開かれているのは、「市BAR(イチバー)」です。2022年11月に始まったこの催しは、22年11月以降は月に一回、第3土曜に実施されており、今月は17日に行われました。
昼間から夜までの間、空き店舗スペースに特設売り場と客席が設けられ、お酒とともに、鮮魚店や鶏肉店などの8店舗がそれぞれの個性を生かした総菜などを用意します。この日は約20品がそろいました。
市場内を巡って各店自慢の商品を容器に詰めていく「おすすめワンプレート」は、同市場にも足しげく通う市場愛好家のアイデアで生まれたもの。1080円で8店舗の味を楽しめる趣向で、商店主との会話や商品購入の機会を生むきっかけにもなっています。
長田中央小売市場協働組合理事長の岡田成寛さんによると、毎回120~150人ほどがこのイベントを目当てに訪れるといいます。当日も、老若男女が次々と市場の入り口をくぐり、商店主や他の来店客と「久しぶり!」「お元気でしたか」などと声を掛け合う様子も見られました。
イベントは、商店主らが新たな商品や取り組みに挑戦できる場にもなっています。普段は主に果物を取り扱う岡田さんも、この日は初めてお好み焼きや焼野菜などを用意しました。来店客の中に一人暮らしの高齢者も多いため、その食生活を支えるような将来の展開を見据えてのものです。岡田さんは、「おいしいと言ってもらえるのが一番うれしい」と笑顔を見せました。