少子化が叫ばれる昨今。児童・生徒数の減少などにより、全国で毎年約450校の廃校施設が生じています。その波は小中高校などの「学校」だけでなく、幼稚園や保育園などの「園」にも拡がっており、跡地の利用も各地域の課題となっています。
そのような状況のなか、もと幼稚園だった建物をリノベーションし、“農家レストラン”として地元に愛される店が兵庫県赤穂郡上郡町にあります。オープンの経緯やコンセプトについて詳しく取材しました。
「元々は、隣にあるシューズ会社の社員食堂を作ろうとの思いがあった」と明かしたのは、農家レストラン「hana terrace（ハナテラス）」（以下、hanaテラス）代表の岡本真里奈さんです。2021年、構想通りその企業の社員食堂としての活用が実現しましたが、「せっかくだから上郡町を盛り上げるきっかけになれば……」との思いから、一般客も利用できるレストランとしてオープンしたといいます。
店を開いたのは、幼稚園のお遊戯スペースだった部屋です。天井は高く、床は教室を思わせるフローリング。両側の壁には大きなガラス窓が並び、明るい日差しを存分に取り入れる仕様。外に目をやれば芝生が広がっています。テーブルセットはシンプルな木のぬくもりを感じさせ、合間にしつらえた緑もあいまってナチュラルな雰囲気です。
「できるだけ面影を残したまま活用しています。昔この幼稚園に通っていたというお客様が来店され、『懐かしい』『残っていてよかった』と涙を流して喜んでくださったこともあります」と岡本さんは話します。
“農家レストラン”をコンセプトにしたこの店では、地域の恵みを知ってもらうため、地元野菜を使用することにもこだわっているのだそう。上郡町のご当地グルメとして知られる「モロどん」（上郡特産のモロヘイヤを練り込んだうどん）もメニューに並びます。
さらに、ビュッフェも新たにスタート。コロッケやキッシュ、モロどんなど複数そろうメイン料理から一品選んだあとは、店内中央のビュッフェコーナーを利用することができます。
