私たちの食生活を支える「パン」。全国的に見ても関西地方はパンの消費量が多いことで知られており、朝食やおやつに食べるという人も多いのでは? 口にする機会が多いからこそ、“体に優しいパン作り”を行っているのが兵庫県・相生市の「パン工房笑顔(すまいる)」。オープンのきっかけや想いについて、店長の勝下由美子さんに詳しく取材しました。

☆☆☆☆
かつて勝下さんは厚生労働省から委嘱され、地域の人たちの手助けを行う民生員としての活動を20年ほど行っていたのだそう。
「民生委員としての活動を通してできたご縁もあり、知的障がい者の方と一緒にパンを作る事業所で職員として働いていたんです。ですが、身内の不幸をきっかけに事業所を退職。しばらくして『このまま何もしないで過ごしていてはいけない』と感じ、今までの経験を生かしてパン屋を始めることに決めました」(勝下さん)
こうして勝下さんは2020年に店舗をオープン。テーマである「体に優しいパン」は、店として何か特色を.....と考えていたとき、通っていたパン教室の先生からの助言が元になっているのだとか。
地元産の米粉で作られた米粉パンや、世界自然遺産の白神山地で採れる「白神こだま酵母」で発酵させて作ったパンなど、様々な体に優しいパンを提供しています。
優しいのはパンだけではありません。店舗の至る所に勝下さんの配慮が散りばめられています。広々とした空間はバリアフリーに。自宅の納屋と倉庫を改装し、ベビーカーなどが出入りしやすいよう大きな扉を取り付けました。イートインスペースには長机を設置し、車いすに乗ったまま買い物や食事を楽しむことができるよう工夫されています。


イベントへの出展も積極的に行っています。昨年10月には上郡町で行われた「西播磨フロンティア祭り」に参加。今年は2月9日の「相生かきまつり」へも出展予定で、レギュラーのパン類に加え、冬限定の「牡蠣ピロ(牡蠣を使用したピロシキ)」も並ぶのだとか。


“精力的な活動の原動力”は一体どこから湧いてくるのでしょうか? 勝下さんは、「かつて一緒に働いていた知的障がい者の方と、自分の店でまた一緒に働く」という夢がそうさせるのだ.....と教えてくれました。
「民生委員の主任児童委員として、また、事業所の職員として関わってきた子どもたちはみんなとってもいい子たちばかりなんです。同伴する支援員の確保などの面でハードルの高さもありますが、地域の活性化に繋がると思います。現在、夢を実現できるよう計画中です」と今後の展望を語りました。
(取材・文=洲崎春花)
※ラジオ関西「谷五郎の笑って暮らそう」より



