誰もが知る物語に描かれた動物大集合!不思議な力を持つ珍獣も 「動物画譚展」 市立伊丹ミュージアム | ラジトピ ラジオ関西トピックス

誰もが知る物語に描かれた動物大集合!不思議な力を持つ珍獣も 「動物画譚展」 市立伊丹ミュージアム

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 日本では昔も今も身近な所に動物がいる。物語の中でも、人のようにふるまったり、時には不思議な力を発揮するなどしてその存在感を示している。そんな動物たちが登場する絵巻や絵画、書冊などを集めた「動物画譚展(どうぶつがたん)展 おもしろくて不思議な動物たちの絵物語」が、市立伊丹ミュージアム(伊丹市)で開催されている。2025年6月1日(日)まで。

『大石兵六物語絵巻』江戸時代、国立歴史民俗博物館蔵
『大石兵六物語絵巻』江戸時代、国立歴史民俗博物館蔵

 室町時代から語り継がれているお伽草子には、狐や鼠、犬、猿、鳥など様々な動物が登場する。展示は「桃太郎」や「猿蟹合戦」など誰もが知っている昔話から始まる。「昔話は誰がつくったのかわからず、口承(口で伝えられてきたもの)なので、地域によって内容や結末が違ったり、いろいろなパターンがあるようです」と話すのは同館の岡本梓学芸員。「江戸時代には昔話をもとに新たなストーリーを作ったりしていた。元の話を知っているから新たな楽しみ方になっていたのではないか」という。

『やひやうゑねずみ』江戸時代初期、慶應義塾図書館蔵
『やひやうゑねずみ』江戸時代初期、慶應義塾図書館蔵

 物語の中で動物たちは人間のようにふるまったり、人に報いをもたらしたり、一方で不思議な力を持つものもいる。親から子へ教訓を伝えるものだったとされる物語に身近な動物を登場させることで、親しみやすさを生み出していたのではないかという。一番多く登場するのはキツネとネズミ。「その昔、ネズミは家に棲み着いていることがあり、キツネも野山に多く生息している身近な存在だった。またその動物が持つイメージそのままに擬人化されているものも多い」と岡本学芸員は分析する。

展示風景
入口にあるパネル 作品は『雀の発心(小藤太物語)』江戸時代前期

 動物たちは生き生きと描かれ、その姿は時代によって絵巻や奈良絵本、絵入り本になり、多くの人に受け入れられてきた。今展では絵巻物を中心に紹介する。「動物が登場するお話と作品は多様で面白いものばかり」と岡本さんは笑う。「浮世絵では歌川国芳や月岡芳年といった絵師が筆をとったものもあるが、絵巻の場合、多くは誰が描いたのかわからない。だからこそ素朴で味わい深く親しみが持てるものが多い」という。「絵で物語を読み解くことで女性など幅広い人びとにも楽しまれていた。嫁入り道具などとして大切にされたことで今に伝わっているものも多い」と岡本学芸員は話す。

歌川国芳『犬図』江戸時代後期、摘水軒記念文化振興財団蔵
歌川国芳『犬図』江戸時代後期、摘水軒記念文化振興財団蔵

 大阪・関西万博の開催に合わせたコーナーも。ここでは、異国から日本にやってきて人びとを驚かせた動物たちの記録や、霊獣・珍獣の伝説などを紹介する。

「動物をテーマにした展覧会は数多くあるが、ここまでバラエティに富んだ作品が集まることはなかなかない。美術としてだけではなく、文学や歴史の観点からも迫った伊丹(ミュージアム)ならではの展示です。今にも受け継がれている様々な動物たちの絵物語を楽しんでほしい」と岡本学芸員は話す。

展示風景
展示風景
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