日本の暦「二十四節気」には、自然の移ろいを敏感に捉え、生活に役立ててきた先人の知恵が込められています。
今回は、秋を深く味わう節気「白露(はくろ)」と「秋分(しゅうぶん)」について、播磨国総社射楯兵主神社(兵庫県姫路市)祭務部の尾崎祐彦さん(※尾崎の「崎」は、たつさき)に詳しく聞きました。

【白露(9月7日~22日ごろ)】
尾崎さんによると、「白露は朝晩の気温差が大きくなり、草木に露が宿ることで秋の訪れを感じられる節気」だといいます。夏の名残を感じつつも、朝露や夜風に秋の気配がただよいはじめるころです。
この時期には、秋の七草として知られる萩、尾花(おばな=ススキ)、葛(くず)、撫子(なでしこ)、女郎花(おみなえし)、藤袴(ふじばかま)、桔梗(ききょう)が咲きそろいます。夕日に照らされて揺れるススキの姿は、秋らしい情景そのもの。梨やぶどう、きのこ、サンマなど、旬の味覚もそろいはじめます。朝晩の冷え込みには、温かい汁物を取り入れると体調管理に役立ちます。

【秋分(9月22日~10月7日ごろ)】
昼と夜の長さがほとんど同じになる秋分は、1年のなかでも季節の節目を感じやすい時期です。尾崎さんは、「秋分を境に昼間の暑さもやわらぎ、澄んだ空や赤とんぼの姿に秋らしさが増す」と話します。
食卓には、栗やさつまいも、新米など、“収穫の秋”ならではの恵みが並びます。秋分の日は「彼岸の中日」にあたり、ご先祖を敬う大切な日。お墓参りだけでなく、家で旬の食材をお供えするなど、身近な方法で感謝を表すこともできます。






