米づくりに欠かせない肥料や資材の価格高騰が続き、農家の経営状況が圧迫されています。とくに肥料代は米の販売価格にも影響するため、消費者にとって無関係なことではありません。こうした中、地域で廃棄される資源を活かし、化学肥料に頼らない稲作をめざす取り組みが兵庫県たつの市で進められています。「未来図ファーム株式会社」代表取締役の山本浩平さんに話を聞きました。
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山本さんによると、プロジェクトの柱は「カキ殻・竹チップ・しょうゆ搾りかす」だといいます。いずれも廃棄や処理に費用がかかっていたものですが、これらを資材とし循環させることで、農業を持続可能なものに昇華できると山本さんは考えているのだとか。
【カキ殻】たつの市は牡蠣の産地としても知られており、室津の漁港では養殖が盛んに行われています。その際に出る殻は長年「廃棄物」として扱われてきましたが、田に入れると水質に影響を与える特性があるため、稲の根の成長を促したり下流域の水質改善効果にも期待できると山本さんは話します。
【竹チップ】地域ならではの事情から生まれた資材です。牡蠣養殖に使われる竹筏(いかだ)は寿命が5年ほどで、その処理が課題となっていました。そこで地元の水産会社が竹をチップ化する機械を導入、山本さんの会社が水田の資材として利用する仕組みを整えました。結果、廃棄コストの削減と資材確保の両立が図られています。
【しょうゆの搾りかす】しょうゆ産地でもある同市ならではの資材と言えます。大豆や小麦由来の窒素を多く含む副産物は、稲作において強力な有機肥料として機能します。昨年の実験では、しょうゆかすを主体にした米栽培を実践。化学肥料を使わずとも、収量や品質に大きな差は見られなかったといいます。今年は実験区を拡大し、資材の配合や施用量、水管理方法の検討が続けられる予定です。

取り組みの背景には「化学肥料依存からの脱却」というテーマがあると山本さん。輸入に頼る化学肥料は価格や供給が不安定であり、製造過程においては環境負荷や土壌への影響も課題とされています。「地域の資源をめぐらせることが、農業の未来につながる」と語りました。
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農家、漁師、竹林所有者、しょうゆ産業といった異なる立場の人々が関わるこのプロジェクト。資源循環の可能性を示すものではあるものの、資材の安定調達や最適な利用方法などまだまだ課題は山積です。普及や定着には時間がかかると見られていますが、持続可能な農業を実現する試みのひとつとして今後の検証が注目されます。

(取材・文=洲崎春花)
※ラジオ関西「谷五郎の笑って暮らそう」2025年9月14日放送分より

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