全国で146万人、神戸市では約1万8300人──。いま、ひきこもりは決して特別なことではない。
神戸市が設置する「神戸ひきこもり支援室」では、当事者や家族、そして地域全体で理解を深めようと、市民向けのオンライン講演会を期間限定で開催している。
同支援室は、中央区橘通の神戸市総合福祉センター1階にある公的な相談窓口。社会福祉士や精神保健福祉士ら6人の相談員が常駐し、家族からの相談を含め年間2400件以上の相談に応じている。家族向けの教室や当事者の交流会の運営も担当する山本明香(やまもと・はるか)さんは、家族からの相談では、ひきこもり本人とのコミュニケーションの取り方を知りたいという声が多いと明かす。
「ご家族とは本人への声掛けの方法を考えたりします。また、本人と会えるようになった場合は、本人の希望を聞きながら、社会とのかかわり方を一緒に考えていきます。本人がどうなりたいのか、その思いを大切にしています」(山本さん)

現在は、専門家や経験者の声を届ける「市民向けひきこもり講演会」をオンラインで開催中だ。コロナ禍をきっかけに始まった試みだが、「平日に参加しにくい方も、自分のタイミングで視聴できるなど、多くの方に見てもらえる(のが利点)」と山本さんは話す。
講演では、ラジオパーソナリティー・南かおりさんが進行を担当。神戸市看護大学の教授で精神看護学を専門とする船越明子さんが基礎知識を解説する。さらに、ひきこもり経験者3人が自らの体験や支援との出会いを語る座談会も行われる。
「ひきこもりは、本人の怠けや親の甘やかしではありません」と強調する、山本さん。講演会を通じて、「ひきこもりは誰にでも突然起こり得ることで、ひきこもりご本人たちも葛藤しながら、どうしたらいいのかを模索をしている途中だということを、知っていただきたい」と呼びかける。
オンライン講演会の配信期間は11月30日まで。視聴は無料で、ラジオ関西のホームページ「イベント」欄から申し込める。
なお、神戸ひきこもり支援室では、電話(短縮ダイヤル#8900または078-361-3521)や各区役所での出張相談も行っている。そのほか、より多くの人に支援室を知ってもらおうと、殻(カラ)にこもりながらも自分のペースで一歩を踏み出す姿を表現しているイメージキャラクター「これカラ」も生み出し、公式ホームページでは「これカラ」を主人公にした4コマ漫画も公開している。

◆経験者から学ぶ“ひきこもり” 支えあうための一歩~神戸ひきこもり支援室 令和7年度市民向け講演会~
【詳細はこちら】






