アスリートにとって武器ともいえる肉体を作り上げるのに必要なのが「食事」。ですが、具体的にどのようなものを摂取するといいのでしょうか。スポーツ選手の栄養指導に長年携わってきた神戸女子大学健康福祉学部健康スポーツ栄養学科・准教授の坂元美子さんに、アスリートが食事で意識すべきポイントについて聞きました。
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●食材は「7色」に分類する
坂元さんが提案するのは“七つの虹色食事法”です。「虹を見たときのワクワク感と同じように、楽しみながら五大栄養素をバランスよく摂れるようになってほしい」という思いが込められているとか。分類は下記。
▼赤(肉類・卵)▼オレンジ(魚介類・大豆製品)、▼黄色(主食/ご飯・パン・麺類など)▼緑(緑黄色野菜・いも類・海藻類)▼青(淡色野菜)▼藍(乳製品)▼紫(果物)

●試合直前の食事は「ウォーミングアップ前」に摂る
吸収が良い温かい炭水化物として「うどん」を坂元さんは推奨。環境によってはおにぎりやカステラ、水分と糖質を同時に補給できる100%オレンジジュースも良いそうです。
●試合前日の食事は「炭水化物」をしっかりと
「エネルギー切れを防ぐために炭水化物はしっかり取ってほしいです」と坂元さん。おかずとして合わせるなら、炭水化物をエネルギーに変えるビタミンB1を多く含む豚肉料理(豚汁・豚丼・ポークカレーなど)が適しているとのこと。


●補食は「和菓子」
三食で摂りきれない栄養を補うのが「補食」と言われるもので、坂元さんは和菓子を推奨しています。「スポーツ選手がパフォーマンスを発揮するのに最も必要な栄養素は炭水化物です。和菓子は糖質を効率よく摂れ、脂質が低いのが魅力。あんこは小豆が原料なので、ビタミンB1やミネラルも含まれています」と説明。また、果物やナッツも手軽にビタミン・ミネラルを補給できるそう。酸味のある果物は、ストレスに対応しやすい体づくりに役立つのだとか。
●体脂肪率は「体質に合ったベストゾーン」を見極める
若いアスリートが気にするのが体脂肪率であると坂元さんは言います。しかしながら、ベストな体脂肪率は個人差があるとのこと。特に女子選手については、スポーツ障害を防ぐ観点から22%前後が最も良いとされているのだとか。「憧れの選手と同じ体脂肪率にしたからといって、同じように活躍できるわけではありません。自分の体質に合ったベストゾーンを知ることが大切です」と強調しました。

かつて神戸を本拠地としていたプロチーム「オリックス・ブルーウェーブ」の専属栄養士だった坂元さん。印象に残っている選手としてイチローさんを挙げ、「すごく優等生でしたね。彼は『これってどうなんですか?』と聞くのではなく、『こういうことをやってるんですけど間違ってませんか?』と実践した上での質問をしてくることが多かったですね」と振り返りました。1995年にリーグ優勝、翌年に日本一を達成したこともあり、球団は「栄養指導の結果も出てるのではないか」と坂元さんの功績を評価。それは“勝ちメシ”を生み出す栄養アドバイザーとして認められた瞬間でもありました。

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現在Jリーガーの個人指導もしている坂元さんの今回のアドバイスは、未来のアスリートを目指す子どもを持つ家庭においても役立ちそうです。
※ラジオ関西『ハートフルサポーター』2025年11月3日、10日放送回より





