《1》はじめに
《1》はじめに
『震災報道の記録をまとめるにあたって』
AM神戸 (株)ラジオ関西 取締役・編成局長 山 田 健 人
1月17日未明に発生した阪神・淡路大震災は、一瞬のうちに5500人余りの生命を、そして、10数万所帯の生活基盤を奪うという未曾有の被害をもたらしました。AM神戸も、社屋や放送設備に甚大な損傷を受け、1週間後には、社屋を放棄せざるを得ませんでした。その中で、地元ラジオ局として、震災直後から、地域の被災者の生命を守ることを第一義として、連続69時間に及ぶ震災特別報道をはじめ、社員総がかりの救命・救援の報道活動を行いました。
被災地の人々と局を結ぶホットラインには、3週間で6万通の安否情報や救援を求める情報が寄せられました。
大災害に際して、ラジオがライフラインメディアとしていかに大きな役割を担っているか、地域の人々がどれほど情報源としてのラジオを拠りどころとしているかを、あらためて知らされた思いです。
予測をはるかに超えた今回のような事態の中で、私たちがどう動き、何を伝えていったのか。そして、地域の人たちにどう受けとめられたのか。
被災局として出来たこと、出来なかったことを整理し、検証することは、今後の災害への取り組みを考える上で、たいへん重要であると考えました。そこで、時系列の記録と、災害報道のデータをそのまま正確に、余すところなく盛り込んで、この冊子にまとめました。
AM神戸にご支援・励ましをいただいた地域の様々な方々、そして、全国各地の関係者各位に、改めて感謝を申し上げますとともに、被災局がその存在をかけて行った災害報道の記録が、今後の各地域での防災活動に少しでもお役に立てれば幸いと存じます。
- 《2》震災報道の検証 【1】災害への対応体制について (震災前)
- 《1》はじめに