■政府にスピード感なく「国民に気の緩み」
1人10万円が一律に支給されることになった。もっと早く支給されていれば(4月の時点でまだ支給されていないが)、国民は「いざというとき、政府は責任を持って我々の面倒をみてくれる」と信じることができたかも知れない。
やれ個人の自己申請だ、首長や議員は受け取らないなどと言ってる間に人心は政府から離れていく。
政府が決定に時間をかけているので一部の国民に「ゆっくりでも平気なんだ」という気の緩みが伝わってしまった。給付日も決まらずもたもたしているうちに国民は疑心暗鬼、やっぱり自分で稼いでおかないと不安だ、ということになりズルズルと休業できなくなってしまった。
「一律10万円給付」の是非が問い質されたが、施政者はそこでおたおたしてはいけない。自分は不要だと思う人は後から返納すればよく、まず困っている人や場所にすぐ届け少しでも不安を軽減することこそ大切である。
申請書を取り寄せて煩雑(であろうと推測)な書類に記入して提出することになれば、それを審査せねばならず(そもそも審査しないなら申請書は不要なわけだし)、膨大な数の申請書の内容がいちいち正しいか妥当かなんて調査していたら時間だけがいたずらに過ぎていく。お金がいつまでも入らないことで行き詰まる人はますます増える。
今後の税制についても、いっそ生活の再建具合により納税猶予、コツコツでも払えるなら納税期間が長くなってもいいのではないか。もちろん追徴金など付けずにである。次の世代を苦しめないために細く長くでも納税していくというのはアリではないかと思う。
■「やり口手ぬるい、むごたらしい」~氷川清話から
~勝海舟には晩年、自身の来歴や人物評などを赤坂・氷川の自宅で縦横無尽に語った時事談話集がある。『氷川清話(ひかわせいわ)』。痛烈な時局批判もある。歯に衣着せぬ表現が小気味良い~