そして今回の教訓を細かくノートに書いて、次にこのような事が起こった場合にサッと対処できるようにマニュアルを作ると思う。これは海舟が長崎海軍伝習所でとっていたノートやその他のメモ書き、江戸時代の日記など見ていて私が想像することだ。海舟は明治時代になっても使い古しの紙の余白にあれやこれやメモを書いていた。
■「ポスト・コロナ」血の通う経済にするには?
最後に私から一つ提案。キャッシュレス5%還元をあと半年か1年続けたらどうだろうか。マイナポイントでは上限5000ポイント、つまり5000円しか付与されない。今、海舟が生きていたらこう言うだろう。「お前さん、ケチケチしないであと何か月か続けてやりゃあいいじゃないか、みんなそのキャッシュレスとやらで買い物すると得だって分かれば世の中こんなことになっちまったんだ、今までキャッシュレスなんて嫌だと言ってた人たちもここでちょっと使ってみるかって気にもなるもんだエ、お上のキャッシュレス化政策も一歩先に進むし国民も5%節約できて少しは財布の紐も緩むってものヨ、そしたら消費も回復、経済にも血が通い始めるってものサ」と。
今までキャッスレスはちょっとと二の足を踏んでいた人も今回のことでキャッシュレスについて見直すかもしれない。国のキャッシュレス化政策をまた一歩先に進めることができるかもしれない。我々も5%節約できて少し財布の紐も緩む……小さな歩みかもしれないが消費回復、経済回復に寄与できるかもしれない。
こうやま・みなこ
坂本竜馬と勝海舟が出会った百年後、神奈川県鎌倉市に生まれる。
慶應義塾大学文学部卒。会社秘書を経てフリーランスのライター。海舟や海舟ゆかりの地や人物などについて研究、著述、講演を続けている。現在はガラス彫刻の工房も開いている。
海舟の三女・逸子のひ孫にあたる。逸子は専修大学の創立者、目賀田種太郎に嫁いだ。